聖火リレー トーチ使わず巡回へ 延期めぐる判断出るまで

聖火リレー トーチ使わず巡回へ 延期めぐる判断出るまで
東京オリンピックの聖火リレーについて、大会組織委員会は、大会の延期をめぐる判断が出るまでは、トーチを使ったリレーは行わず、ランタンにともした聖火を巡回させる形に変更する方針を固めました。
今月12日にギリシャで採火された東京オリンピックの聖火は、20日に日本に到着し、東日本大震災の被災地の東北の3県で「復興の火」として展示されたあと、26日から国内の聖火リレーが福島県からスタートする予定です。

しかし、関係者によりますと、組織委員会は、IOC=国際オリンピック委員会と大会の延期を含めた検討についての判断が出るまでの間は、トーチを使った聖火リレーは行わない方針を固めました。

この間、聖火はランタンにともして巡回させる形となる見通しです。

理由として、IOCと大会の延期を含めた検討が始まったことを考慮すること、また、トーチリレーを行うと沿道に応援する人が密集してしまうため、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するためだということです。

組織委員会は、感染拡大を防ぐため、福島での式典も無観客とした上で、国内での最初の聖火ランナーの予定だった2011年のサッカー女子ワールドカップで優勝した日本代表「なでしこジャパン」の当時のメンバーの参加を見送るなど、さらに式典の規模を縮小する方針だということです。

震災遺族のランナー「残念としか言えない」

スタート地点の福島県のランナーの1人で、東日本大震災で家族4人を亡くした上野敬幸さん(47)は「残念です。自分たちではどうすることもできないので、決められたことに従うしかないですが、残念としか言えません」と話していました。

上野さんは聖火リレー初日の今月26日に南相馬市でランナーを務める予定で、笑顔で走り、家族に報告したいと考えていました。

上野さんは「もしも大会が延期になるのならば、そのタイミングで自分たちも聖火リレーを走れるようにしてほしいと思います」と話していました。

15歳ランナー「復興を世界に発信する機会を作って」

「なでしこジャパン」のメンバーのあとの第2走者を務める予定の福島県広野町の大和田朝斗さん(15)は「世界中の人のことを考えての決断なのでしかたがないと思うが、リレーのための靴を買うなどいろいろと準備をしていたので率直に残念だ」と話しました。

そのうえで「リレーを延期するなどして福島の復興が進んでいることを世界中に発信できる機会を作ってほしい」と話していました。

愛知県実行委「究極の落胆状態だ」

来月6日と7日に聖火リレーが行われる愛知県の実行委員会の事務局は23日夜7時すぎに大会組織委員会から連絡を受けたということで、NHKの取材に対し「衝撃を受けている。きょうも県内の自治体と聖火リレーの実施に向けた研修を行い、いよいよという感じだったので、究極の落胆状態だ」と話していました。

事務局は、愛知県内の自治体に対して大会組織委員会から連絡を受けた内容を伝えるなどの対応に追われているということです。