安倍首相 五輪パラ「全参加国が万全な状態 重要」参院予算委

安倍首相 五輪パラ「全参加国が万全な状態 重要」参院予算委
東京オリンピック・パラリンピックについて、安倍総理大臣は、参議院予算委員会の集中審議で、日本だけでなく、すべての参加国が万全な状態で参加できることが重要だという認識を示しました。
●感染拡大を受けた追加の経済対策

国民民主党の足立信也氏は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた追加の経済対策をめぐり、「今年度中に一定額が国民に行き渡ることが、消費や雇用をつなぎとめる手段になるのではないか。スケジュール感をどう考えているのか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は、「今年度中というのはあと1週間余りなので、できないが、来年度以降については、思い切った経済財政政策を練り上げ、V字回復を目指したい。規模について、いろいろな話があるが、非常に大きなマグニチュードの悪影響が懸念されており、それに見合う必要かつ十分な対策を打っていきたい」と述べました。

●東京オリンピック・パラリンピック

公明党の若松謙維氏は、東京オリンピック・パラリンピックについて、「安倍総理大臣から『完全な形での実施が困難な場合には延期の判断も』との答弁があった。延期はまだ決まっていないが、すべての関係者の努力が報われるよう、開催準備を進めるべきだ」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は、「準備に取り組んでいただいたホストタウンや、被災地、国民の皆さんも、現状に不安を抱いている方々は多いと思う。不安を払拭(ふっしょく)するためにも、東京大会は、わが国のみならず、すべての参加国が万全な状態で参加できることが重要だ。完全な形での実施を目指すため引き続き、IOC、組織委員会、東京都と連携しながら、準備を着実に進めていきたい」と述べました。

●東京オリンピック・パラリンピック

日本維新の会の片山共同代表は、東京オリンピック・パラリンピックの開催をめぐり、「『オリンピックは粛々とやっていく、国内の大きなイベントは大体抑える』というのでは、国民感情として、何となく割り切れない」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は、「いま現在、オリンピックを開けるかと言えば、世界は、そんな状態にはない。今後、IOCに議論をいただく中で、一定の選択肢や方向性が示されると期待しているが、場合によっては、私自身の考え方もバッハ会長に話をさせていただく機会があればと思っている。世界中のアスリートがしっかりと練習でき、世界から参加していただいて、アスリートと観客の皆さんが安心できる形で開催したい」と述べました。

●感染拡大による影響

共産党の小池書記局長は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響について、「売り上げが激減している観光や宿泊、飲食、運輸は、融資だけでは危機から救えない。資金繰り対策だけではなく、交付金などによる直接助成が必要だ」と求めました。

これに対し、安倍総理大臣は、「甚大な影響が出ていると認識しており、収束が視野に入った段階では、観光事業の喚起と振興などについて、前例にとらわれることなく、相当思い切った対応をしていきたい。リーマンショックのときの対応なども念頭に置きながら、場合によっては、それを上回る対応をしていきたい」と述べました。また、安倍総理大臣は、「雇用調整助成金」について、北海道を対象に助成率を引き上げていた特例を、全国のほかの地域でも適用することを検討する考えを示しました。

●東京高検 黒川検事長の定年延長

社民党の福島党首は、東京高等検察庁の黒川検事長の定年延長について、「内閣の胸三寸で定年延長が決まる。黒川氏の定年延長のため、内閣法制局は検察庁法改正案を書き換えなくてはならなかった。本当におかしい」と批判しました。

これに対し、安倍総理大臣は、「なぜ、官邸が恣意的(しいてき)に人事を行えるようになるのか全くわからない。今回の解釈は、法務省において適切に行ったものだ。黒川検事長については、検察庁の業務の遂行上の必要性に基づき、法務大臣からの閣議請議により閣議決定された。撤回する必要はないと考えている」と述べました。

●「森友学園」めぐる財務省の決裁文書改ざん問題

立憲民主党の福山幹事長は、「森友学園」をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題で、自殺した近畿財務局の職員の手記が公表されたことを受けて、「亡くなった赤木氏の夫人が、『安倍首相は2017年2月の国会での発言で改ざんの原因を作った。麻生大臣は、墓参に来てほしいという私のことばをねじ曲げた。2人は、調査される側であり、再調査しないと発言する立場にない』と指摘している」と述べ、再調査を求めました。

これに対し、安倍総理大臣は、「奥様の発言は初めて承知をしたが、私の答弁がターニングポイントとなったというのは赤木氏の手記に書かれたことではない。改ざんは、財務省の報告書で、『国会審議において、さらなる質問につながる材料を極力少なくすることが目的だった』とされている」と述べ、再調査に否定的な考えを改めて示しました。

自民 岸田政調会長「大きな影響が出ることも覚悟」

自民党の岸田政務調査会長は、記者会見で「代表選考のための大会も開くことができない状況を考えると、やむをえない判断であり、安倍総理大臣も苦渋の思いで発言したと思う。もし延期になれば、さまざまな分野で大きな影響が出ることを覚悟しなければならず、議論の行方を注視していきたい」と述べました。

公明 山口代表「今後の見通し示すことが大事」

公明党の山口代表は、党の会合で、「観戦を楽しみにしている人たちに、今後の見通しをきちんと示すことが大事だ。これからも、完全な形で、アスリートの健康を最優先に、大会の成功を迎えられるよう、政府・与党で臨んでいきたい。けさ安倍総理大臣から電話があったが、政府・与党で連携を密にしていくことが大事だ。早期終息への対応や経済対策も含めて責任を果たしていきたい」と述べました。