中国 武漢封鎖2か月 “新たな感染者ゼロ”に疑問の声も

中国 武漢封鎖2か月 “新たな感染者ゼロ”に疑問の声も
新型コロナウイルスの感染が最初に確認された中国・湖北省の武漢で、街を封鎖する措置がとられてから23日で2か月になります。保健当局は、武漢では5日連続で新たな感染者はいないと発表している一方、市民からは本当に事態が収まりつつあるのか当局の発表を疑問視する声も出ています。
中国の保健当局によりますと、新型コロナウイルスに感染した人は、中国では8万1000人を超え、このうち6割にあたるおよそ5万人が湖北省武漢の感染者となっています。

武漢では、感染拡大を抑え込むため、空港や鉄道の駅などが閉鎖され、事実上、街を封鎖する措置がとられてから23日で2か月となります。

保健当局は、武漢の感染者の8割以上が回復して退院したほか、22日まで5日間連続で新たな感染者が確認されなかったとして、感染防止の対策の効果を宣伝しています。

こうした中、武漢では操業を再開している企業も徐々に出ているほか、一部の住民は団地の外に買い物に出られるようになるなどわずかながら生活の自由が戻りつつあります。

ただ、武漢の市民からは、当局は都合の悪いことは発表しないとして、本当に事態が収まりつつあるのか当局の発表を疑問視する声も出ています。

また、仕事ができずに生活が立ちゆかなくなる人が出るため、当局が発表する感染者の数を意図的に少なくして、企業活動の再開を促しているのではないかといった見方も出ています。

武漢に住む男性「当局の発表は信じられない」

中国の湖北省武漢に住む40代の男性が23日、NHKの電話インタビューに応じ、武漢では5日連続で新たな感染者がいないとした当局の発表は信じられず、感染しないために自分自身で対策を徹底するよう心がけていると話しました。

この中で男性は、自分の周囲で新型コロナウイルスに感染しても感染者の数に加えられなかったという情報を聞いているとしたうえで「当局の発表は人為的な数字だと思う。確定診断をできるかぎりしないようにしているので、新たな感染者の数がゼロになったが、実際の状況とは異なっていると感じる。感染者の具体的な数が実際にはどれくらいなのか、みんな疑っている」と述べて、外出を避けるなど、感染しないために自分自身で対策を徹底するよう心がけているとしています。

また、仕事ができずに生活が立ちゆかなくなる人もいるため、当局は企業の活動再開を促しているとしたうえで「企業などが生産活動を再開する場合には統計データで後押しする数字が必要だ」と述べ、企業の活動再開を急ぐため、意図的に感染者の数を少なくしているのではないかという見方を示しました。

さらに、習近平国家主席が今月、武漢を訪問し、感染対策の徹底を呼びかけたため、地方政府に対するプレッシャーが高まっていると指摘し「感染の抑え込みに向けてデータ上は改善してすばらしいものにならざるを得ず、悪化することはありえなくなっている」と述べました。

このほか、軽症の患者などを隔離するために整備された仮設の医療施設を当局が閉鎖したことで、退院したあとにウイルス検査で再び陽性になった人の中には、自宅で隔離されている人もいるとして、こうした人たちが感染を再び広げるリスクもあると懸念を示していました。