五輪パラ延期だとGDP2兆円程度の押し上げ効果が先送りか

五輪パラ延期だとGDP2兆円程度の押し上げ効果が先送りか
東京オリンピック・パラリンピックが仮に、来年に延期された場合の日本経済への影響について、民間のエコノミストは、およそ2兆円程度、GDP=国内総生産を押し上げる効果がなくなると見込んでいます。
第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは、これまでにオリンピック・パラリンピックを開催した国の経済成長率をもとに東京オリンピック・パラリンピックの経済効果を試算し、ことしの日本のGDPを1兆7000億円程度押し上げるとみてきました。

永濱さんは仮に開催時期が来年に延期された場合は、ことしのGDPを押し上げる効果はなくなり、来年に先送りされるとみています。

ただ、新型コロナウイルスの感染拡大が長引き、延期のうえ、観客数を絞り込むなど規模を縮小して開催することになった場合は、押し上げの効果はさらに小さくなるとしています。

野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストも、東京都の試算をもとに東京オリンピック・パラリンピックの開催はことしのGDPを1兆9000億円程度押し上げると試算していました。

木内さんも来年に延期された場合、押し上げの効果は来年に先送りされるとみています。

エコノミスト「マイナス成長の可能性も」

第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは、東京オリンピック・パラリンピックが仮に、来年に延期された場合の日本経済への影響について「およそ1兆7000億円のGDP=国内総生産の押し上げ効果があると計算していたが、延期になると、これがまるまるなくなる」と話しています。

そのうえで「新型コロナウイルスの感染拡大にオリンピックの延期が重なるとGDPはリーマンショック以降で最大の落ち込みとなり、マイナス成長になる可能性がある。今回は、いくら経済対策やっても根本のウイルスをある程度克服しないと経済は戻りにくいため、よりやっかいな不況になるのではないか」と話しています。

一方、経済効果は、観戦のため人が移動したり買い物をしたりする際の支出や、海外からの観光客の日本国内での消費によってもたらされるため、ことし失われる押し上げは来年に出てくることになるとしています。

ただ永濱さんは「仮に1年後に風評被害が完全に収まっていなかったり、コロナショックの影響で、観光関連の産業で倒産で来年に需要がでてきてもその受け皿が足りないような状況になると、予定どおりの効果が出ない可能性がある」と指摘しています。