テレワーク増でサイバー犯罪の危険性! 警視庁が注意呼びかけ

テレワーク増でサイバー犯罪の危険性! 警視庁が注意呼びかけ
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて職場以外で働く「テレワーク」を急きょ導入する企業が増えていることから、警視庁は不正アクセスなどサイバー犯罪の危険性が高まっているとして注意を呼びかけています。
日本テレワーク協会によりますと新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、テレワークを急きょ導入する企業が今月に入って増えていますが、安全対策が間に合っていない企業もあると指摘されています。

警視庁は当初、東京オリンピック・パラリンピックの期間中に導入企業が増えると見込んで、その時期に合わせてサイバー犯罪への備えを呼びかける予定でしたが、予定を前倒ししてツイッターで注意の呼びかけを行っています。

警視庁のツイッターでは、自宅のパソコンで仕事をする場合は最新のウイルス対策ソフトを使わないと不正なプログラムに感染するおそれがあるほか、自宅の無線LANのIDとパスワードが初期設定のままだと不正アクセスを受けるおそれがあるとしています。

また喫茶店やワーキングスペースなどで無線LANを使う場合はセキュリティーのレベルを確認するとともに重要な情報を扱う場合は通信経路を暗号化するよう求めています。

警視庁では企業の担当者に出席してもらうセミナーも予定していましたが、感染が拡大する中で多くの人が集まるのは難しいとして、今後もインターネットを通じた注意喚起を行っていくことを検討しています。

警視庁サイバーセキュリティ対策本部の岩下英一管理官は「紹介した事例以外にも自宅で仕事をする場合、さまざまな危険性が考えられる。会社の管理部門と相談するなどしてセキュリティー対策を進めていくのはもちろんだが、自宅での業務ではいつも以上に慎重になってほしい」と話しています。

私物パソコン使う場合はウイルス対策ソフトを

自宅などで仕事をするテレワークの普及にともなってサイバー攻撃のリスクも高まっています。

警察庁によりますと、去年確認されたサイバー攻撃に関係するとみられる不審なアクセスは、1日当たり4192件と前の年の1.5倍に上り、これまでで最も多くなりました。

中でもテレワークに関係するサービスを標的にしたとみられるものが近年、相次いでいるということです。

通信経路が狙われて重要な情報を盗み取られる被害も起きています。

ことしはテレワークを導入する企業がさらに増えていて、とくに新型コロナウイルスの感染拡大を受けて今月以降、テレワークを急きょ導入する企業が相次いでいます。

専門家によりますと、多くの企業のオフィスでは、サーバーに接続できる社員を限定したうえで、パソコンなどに最新のウイルス対策ソフトを導入するなど細心の注意を払ってセキュリティ対策を実施しています。

ところが社員が自宅でインターネットにつないで仕事をする場合は、対策が不十分なままだと攻撃を受けやすくなり、重要情報が盗み見られたり流出したりするおそれがあります。

私物のパソコンを使う場合は最新のウイルス対策ソフトを導入する必要があります。会社のパソコンなどを持ち帰って使う場合でも、会社のサーバーに接続する際は、通信経路を暗号化することが基本です。

そのうえで通信経路のIDやパスワードを盗もうと会社や取引先を装った偽メールが送られることもあるため注意が必要です。

テレワーク始めた人「早急に職場と相談し、対策決めたい」

テレワークを始めた人たちからは不安の声も聞かれます。

東京都内の財団法人に勤務する川嶋彩さん(37)は今月上旬からテレワークを始めました。

勤務先は当初、東京オリンピック・パラリンピックに合わせて、テレワークを導入する予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で急きょ、前倒ししました。

川嶋さんは現在週2日、自宅で仕事をしています。

主な仕事は調査内容の執筆やメールのチェック、それに団体のホームページの保守管理など。

パソコンとインターネットが不可欠で、自宅では私物のノートパソコンと無線LANを使っています。

ノートパソコンは最新のウイルス対策ソフトで安全性を確認していますが、無線LANのルーターについては多くの家電製品と連携していることもありID・パスワードを購入した時のまま変更していないということです。

さらに、執筆に必要なデータなども会社から自宅に持ち帰っていますが、安全面からどこまで持ち帰るべきか悩むことが多いということです。

川嶋さんは「十分なセキュリティー体制が整わないままテレワークを前倒しせざるを得なかった中小企業は多いと思う。

そうした企業では専門家などがいるわけではなく安全の基準が明確ではない。職場と早急に相談してガイドラインを決めたい」と話しています。