イタリア 死者4825人に 外出規制さらに厳しく

イタリア 死者4825人に 外出規制さらに厳しく
新型コロナウイルスで死亡した人が世界で最も多いイタリアでは21日、新たに800人近くが亡くなり、死亡者の数は4825人となりました。感染者も5万3578人に上っています。
イタリアでは、感染者が集中している北部で重症患者が急増し、医療態勢がひっ迫しています。

このため、中心都市ミラノからおよそ80キロ離れたクレモナの病院では、アメリカのNGOの支援で集中治療室も備えた野外病院が設置されるなど態勢が強化されました。

一方、イタリア政府は感染の拡大を抑えるためとして外出の規制を一段と厳しくし、21日からは全土ですべての公園を閉鎖したほか、自宅周辺でなければジョギングなどの運動も認めないとしています。

対策を徹底するため、警察官による監視が強まっていて、首都ローマの中心部では、ふだんは観光客でにぎわうスペイン広場もほとんど人の姿がなく街が一変しています。広場近くでジョギングをしていた男性が警察官に呼び止められ、注意を受ける場面もみられました。

主要な道路では検問も行われ、警察官が通行する車を止めて移動に必要な書類を持っているかなどをチェックしていました。

仕事に向かうという男性は「死亡者が出ているのにウイルス自体は全く目にみえない」と話し、感染に歯止めがかからないことへの恐怖感をつのらせていました。

また、高齢の男性は「いつ終わるかわからないので不安だ。こんな状況は経験したこともない。戦争よりもひどい」と話し、先行きに懸念を示していました。

原則として通勤も認めない

新型コロナウイルスで死亡した人が4000人を超え、急速に増え続ける中、イタリアのコンテ首相は21日夜、テレビ演説を行い、感染の拡大を抑えるために全土で外出制限を一層厳しくすると発表しました。

この中で、コンテ首相は、「第二次世界大戦以降、イタリアが経験したもっとも厳しい危機だ」と述べ、社会が機能するために、最低限必要な商品の生産・販売やサービスの提供以外の活動は大きく制限するとしています。

具体的には、食料品店や薬局、郵便局や金融機関、それに公共交通機関などを除いた仕事については、在宅勤務以外認めないということです。

イタリアでは、今月10日から外出を控えるよう求める措置が全土で導入されましたが、通勤は認められていました。

しかし、感染者や死者の増加にいっこうに歯止めがかからないことから、政府は原則として通勤も認めないことで一段と厳しい措置に踏み切った形です。

イタリアではこのほか、21日からすべての公園を閉鎖したり、警察官を動員して人の移動の監視を強化したりするなど、感染の食い止めを最優先に掲げ、対応に乗り出しています。