アフリカの国々でも感染確認 水の供給行き届かず手洗い困難も

アフリカの国々でも感染確認 水の供給行き届かず手洗い困難も
世界中に新型コロナウイルスの感染が広がるなか、アフリカ大陸の国々でも感染が確認されるケースが増えています。一方で、水道による水の供給が行き届かず、予防策として効果的な手洗いを十分に行えない人も多く、感染の拡大が懸念されています。
このうち、20日までに感染が確認された人が202人となった南アフリカでは気候変動の影響で干ばつが断続的に起き、南部地域では、ダム湖の水位がここ5年ほどで、急速に下がりました。

また、1994年の民主化以降、黒人中心の政党による長期政権が続く中、行政や公共事業をめぐる汚職がはびこり、各地で水道事業までもが機能不全に陥る事態になっていて、水道から水を得られない住民が増えています。

南部の町では住宅の庭にある水道の蛇口をひねっても水は出ず、この2年ほどは水の供給が止まっているということです。

取材中、自治体が派遣した給水車が数週間ぶりに町にやってくると、人々はバケツを持って家から飛び出し、あっというまに長い列ができていました。

人々は、「新型コロナウイルスの予防策で手を洗いたいが十分にできず不安だ」とか、「水がないのにどうやって手を洗うんだ」と口々に話していました。

この町に暮らす73歳のマプレン・モディセさんは、苦肉の策として、たるに雨水をためて、生活用水にしていて、手を洗う時もたるの中から少しだけすくって、大切そうに使っていました。

モディセさんは、「きちんと手を洗わないと病気になってしまうのではないかと心配しています」と話していました。

新型コロナウイルスへの懸念が強まる中、町では、水が供給されないことに抗議する激しいデモが相次いでいます。

ユニセフ=国連児童基金は、アフリカなどの途上国を中心に自宅にせっけんを使って手を洗える設備がない人は世界人口の40%にあたる30億人に上るとしています。

このうち、南アフリカでも都市部の人口の半数近い1800万人がそうした環境で暮らしているということです。

アフリカの国々では、感染を確認する検査態勢が不十分な上、医療設備や医薬品、それに医師や看護師も不足していることから、新型コロナウイルスに対するぜい弱性が高く、感染が広がる懸念が強まっています。

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は18日、「アフリカでは、報告された感染者以外にも確認できていない感染者がいるとみられる。他の地域では、感染がある時点から急速に拡大しており、アフリカの国々も最悪に備えた準備を進めるよう強く求める」と話しています。