東南アジアでの感染者 2200人余に 各国警戒強める

東南アジアでの感染者 2200人余に 各国警戒強める
東南アジアでは、新型コロナウイルスの感染者が今週に入って急増していて、各国政府の発表を合わせると、19日までに2200人余りに上っています。マレーシアでは、イスラム教の大規模な宗教行事をきっかけに、感染が拡大したとみられ、周辺国にも広がっていることから、各国が警戒を強めています。
マレーシアでは今月15日以降、新たな感染の確認が連日100人を超えていて、感染者は19日の時点で、ASEAN=東南アジア諸国連合の加盟国で最も多い900人に上っています。

このうち500人余りは、首都クアラルンプールで今月1日までの4日間開かれたイスラム教の大規模な宗教行事の参加者や家族などだということです。

会場となったモスクは閉鎖され、20日は人が近づかないよう警察官が配置されていました。

この行事には、周辺国からも多くの人たちが参加したため、こうした国々にも感染が広がっています。

世界で最も多くのイスラム教徒を抱えるインドネシアでは、1週間ほど前から感染者が急増し、政府の発表によりますと、その数は19日までに309人に上っています。

この中には、マレーシアで開かれた行事の参加者も含まれていて、インドネシア政府は感染拡大を防ぐため、イスラム教の指導者に対し、人が密集するおそれがある金曜日の集団礼拝を行わないよう要請しました。

このほか、ベトナムやカンボジアなどでも、マレーシアの行事に参加した人の感染が確認されており、各国が警戒を強めています。

ベトナムではアプリで監視

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、ベトナムではスマートフォンのアプリで感染者と接触した人を監視する取り組みも始まりました。

ベトナムでは、新型コロナウイルスの感染者が今月6日におよそ3週間ぶりに確認されて以降、感染者が増えていて、19日までに85人の感染が確認されています。

ベトナム政府は、感染者が確認されたエリアを封鎖したり、感染者と接触した人を隔離したりするなど対策の強化を続けています。

こうした中、首都ハノイで18日から、スマートフォンのアプリで感染者が確認された場所や、感染者と接触した人の位置情報を地図で公開することを始めました。

アプリの地図では、感染者が見つかった場所や感染者と接触した人がいる場所を色別に分けて表示しています。

さらに、このアプリでは感染者と接触したため自宅などでの隔離を命じられ、監視の対象になっている人がその場所から30メートルほど離れた場合、当局者に連絡が届く機能もついているということです。

また、アプリには市民が感染の疑いがある人を通報する機能もついています。

20日からアプリを使い始めたという女性は「避けるべき場所がどこなのか、把握できますし、隔離などのうわさやフェイクニュースがある中で正確な情報も確認できるのでとてもいい取り組みだと思います」と話していました。

インドネシア 政府が集団礼拝を行わないよう要請

世界で最も多くのイスラム教徒を抱えるインドネシアでは、新型コロナウイルスの感染の拡大を防ごうと、政府が19日、宗教指導者に対し、金曜に行われる集団礼拝を行わないよう要請しました。

これを受けて、首都ジャカルタにあるモスクでも、人が密集するおそれがある20日の集団礼拝を中止しました。

このモスクでは、毎週金曜日におよそ1500人の信者が集まるということですが、20日は、100人ほどにとどまり、閑散としていました。

モスクを訪れた男性は、「私がもし感染してもそれは神の意思なので受け入れますが、礼拝の中止は感染の拡大を防ぐためには仕方がありません」と話していました。

インドネシア政府によりますと、インドネシアでの感染者は、19日時点で309人に上り、ASEAN加盟国の中で3番目に多くなっています。

マレーシアでの感染は900人 大規模な宗教行事がきっかけ

マレーシアでは、新型コロナウイルスへの感染が確認された人は、政府の集計で、19日時点で合わせて900人に上り、このうち2人が死亡しています。

中でも今月15日以降は、新たな感染の確認が連日100人を超えて急増しており、感染者の数はASEAN加盟国の中で最も多くなっています。

マレーシア政府は、感染者が急増したのは、首都クアラルンプールで今月1日まで4日間にわたって開かれたイスラム教の大規模な宗教行事がきっかけだと見ています。

この宗教行事には、国内外から1万人を超える信者が参加し、モスクやその周辺では人が密集した状態だったということです。

マレーシア政府は、これまでに確認された感染者のうち、500人余りは、この宗教行事の参加者や家族などだとしています。

会場となったモスクは閉鎖され、20日は、人が近づかないよう警察官が配置されていました。

こうした事態を受け、マレーシア政府は、感染拡大を防ぐための対策に乗り出しました。18日からの14日間、すべての外国人の入国とマレーシア人の出国を禁止したほか、国内でも不要不急の外出を控え、できるかぎり自宅にとどまるよう要請しています。

さらに、今週末には軍を出動させることで、国民に自宅にとどまるよう強く促すことにしています。