EU 運輸関連企業に財政支援検討へ 人の移動制限で苦境

EU 運輸関連企業に財政支援検討へ 人の移動制限で苦境
EU=ヨーロッパ連合は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う急激な需要の落ち込みで、航空会社など運輸に関わる域内の企業が苦境に陥っていることを受け、臨時の閣僚会議を開いて対応を協議し、企業に対する財政支援などを検討していくことで一致しました。
EU域内では新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためとして、各国が入国を制限したり国内の人の移動を大幅に減らす措置を始めていることから、運輸に関連する需要が極端に落ち込んでいます。

とりわけ、航空会社は国際線、国内線ともに減便や運航停止に追い込まれるなど厳しい経営を迫られています。

これを受けてEUの27か国は18日、テレビ会議による緊急の運輸相会議を開き対応を協議しました。

その結果、各国は航空会社などの運輸関連企業が事業を継続できるよう、財政支援などを検討していくことで一致しました。

会議後に発表した声明では「各企業がこの難局を乗り切れるよう解決策を見いだすのが重要だ」として、感染拡大を防ぐための措置がかえって経済を圧迫しないよう対応していくとしています。

また現在、EU域内では各国が移動を制限した結果、物流にも混乱が生じていて医療用品や生活物資の供給が滞ることも懸念されるため、EUは各国に対し輸送トラックなどに対する優先レーンを設けることなどを求めました。

欧州 空の便は大半が運航されず

ヨーロッパでは空の便がほとんど運航されない深刻な状況になっています。

ヨーロッパを拠点とする航空会社は、大半の便を停止せざるをえない事態に追い込まれていて、運航停止の割合は、ドイツのルフトハンザ航空のグループが長距離便の90%と近距離便の80%、エールフランスとKLMオランダ航空のグループが最大90%、イギリスのブリティッシュ・エアウェイズやスペインのイベリア航空などのグループが75%以上、などとなっています。

雇用にも深刻な影響を与えていて、航空各社はコスト削減のため、新規採用の凍結や時短勤務などに踏み切っているほか、北欧のスカンジナビア航空やノルウェーエアシャトルは従業員の一時的な解雇を決めました。

こうした状況の中、イギリスのヴァージン・アトランティック航空が「航空産業は経験したことのない重圧に直面している」として、政府による緊急支援を求める声明を出すなど、各社が窮状を訴えています。