新型コロナウイルス 就活にどう臨む?

新型コロナウイルス 就活にどう臨む?
今月から本格化した学生の就職活動。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で状況は一変しています。就活はどうなってしまうのか、学生の不安の声に、就職情報大手の担当者は、企業が発信する情報をしっかり入手するようにしてほしいと話しています。(ニュース制作部記者 為永伸明 野中悠平)

説明会に企業がいない!?

2月27日、私たちはまず、東京・八王子市にある大学で行われた企業説明会に向かいました。会場に着いて、まず目に飛び込んできたのは、入り口にある張り紙です。
「参加見送り」の連絡が、企業から相次いでいたのです。この日は30社中、5社が参加を見送り。学生たちは戸惑いを隠せない様子でした。
大学3年生・女性
「1週間くらい前から説明会が急になくなりました。3月上旬はすっからかんになった感じ。どういうところから情報を得たらいいのか分からないので困っています」
大学3年生・男性
「40年先の人生に関わることだと思っているので、非常に不安です」

急速に進むウェブ活用

学生と企業が直接、顔を合わせる機会が少なくなっていることしの就活。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で来年春に卒業する学生の就職活動では、企業説明会の中止や延期が相次いでいます。そこで期待されているのが、インターネットの活用です。
就職情報大手のリクルートキャリアは、今月立ち上げた就職情報サイトで「ウェブ説明会」と呼ばれる動画の掲載を始めました。

動画では、各企業の社員が、対面での説明会と同じように仕事の内容や働き方などを説明します。学生が好きな時間や場所で、何度も繰り返し見ることができます。また、大勢が集まる機会を減らすことで、感染の拡大を防ぐこともできます。
大手就活情報の「マイナビ」も、インターネットのライブ配信による説明会を開催。ウェブでの就職活動が急速に浸透しようとしています。

十分な情報は得られるか…

就職活動をしている大学生は、どう感じているのでしょうか。都内に住む大学3年生、久保田大智さんに話を聞きました。3月から、企業説明会に参加する予定でしたが、3社のうち2社の説明会が中止になりました。
ウェブ説明会に変更されましたが、久保田さんは、限られた情報で就職先を選ばなければならなくなるのではないかと不安を感じています。
久保田大智さん
「ウェブ説明会をやってくれるだけでもありがたいです。しかし、企業のことを知る機会が少なくなってしまったことが残念です。通常の説明会は、人事の方と直接、やり取りできますが、ウェブだと会社の雰囲気がわかりにくいので不安です」
もともと公務員志望でしたが、就業体験を積んでおこうと、去年の夏から参加した宿泊予約サービスの運営会社でのインターンシップをきっかけに、民間企業も視野に入れるようになりました。公務員か民間か。進路を決めるにあたって、企業説明会は、直接、情報を得られる貴重な機会だったのです。

採用への影響も不透明に

不安に拍車をかける出来事も起きています。その1つが、学生が英語力のアピールに使う民間の英語試験「TOEIC」。3月の試験が中止になったことで久保田さんの友人の中には、「エントリーシートに書こうと思っていたのに…」といった落胆の声が出ているといいます。
さらに、この春卒業する学生の内定が取り消される事態も起きています。久保田さんは、こうした動きに、「ますます先行きが見通せなくなっていると思います。友人との間では、『採用の抑制につながるのではないか』という話もしていて、不安が大きいです」と話していました。

企業は十分な情報発信を

来年春に大学を卒業する学生の就職活動と企業の採用はどうなるのか。「リクルートキャリア就職みらい研究所」の増本全所長は、まず、この春卒業の学生が内定を取り消される事態が起きていることについて、次のように見ています。
増本全所長
「内定の取り消しは、ごく一部で起きていることで、来年春に卒業する学生たちの就職活動にただちに影響があるかどうかはまだわからない。採用数を変えないという企業も多くあり、状況を冷静に見ていく段階だ」
そのうえで、来年春に向けた企業の採用活動の現状をこう話しました。
増本全所長
「多くの企業は今後の採用活動をどう進めるべきか、はっきりとした見通しが立てられていない。一方で、これまでと変わらず『学生に会いたい』というニーズは根強い。企業からは集団のセミナーや面接を人数を少なくして実施したり、個別面接を重視したいという声が多く聞かれるようになってきている。企業には、これからの見通しを丁寧に発信してもらい、余裕を持った採用スケジュールを再構築して学生と接点を持つ機会をしっかり設けてほしい」
そして、「学生たちは今後の就職活動にどう臨むべきか」と尋ねると、次のようにアドバイスしてくれました。
増本全所長
「重要なのは採用日程など企業が発信する情報をしっかり入手すること。そのうえで、説明会などが中止になって時間ができたことをチャンスだと考える。企業研究をさらに進めたり、面接で自分の魅力や経験を相手に伝える力を磨いたりすることで、自信を持って就職活動に臨めるように準備してほしい」
ニュース制作部記者
為永伸明

2006年入局。
青森局、福岡局で
行政や警察取材を担当。
2014年から現所属。
マスコミでインターンを経験。
ニュース制作部記者
野中悠平

2014年入局。
高知局で選挙や
行政取材を担当し、
2019年から現所属。
学生時代は計5社でインターン。