自粛、自粛、… 逆境に立ち向かえ

自粛、自粛、… 逆境に立ち向かえ
新型コロナウイルスによる影響が広がりをみせる中、あの手この手で「逆風」を跳ね返そうと模索する動きが出ています。予約キャンセルや延期、自粛に頭を悩ませる人たちが打ち出す新たな一手、どんなものがあるのでしょうか。(ネットワーク報道部 記者 成田大輔 斉藤直哉)

カラオケボックスで “テレワーク”

さまざまな業界に大きな影響を及ぼす新型コロナウイルスの感染拡大。
カラオケボックスもその1つです。

職場や学校の歓送迎会などで3月は繁忙期に当たりますが、ことしは大人数での利用を中心に延期やキャンセルが相次いでいるといいます。

首都圏を中心に展開する「カラオケパセラ」では、テレワークで働く人やフリーランスの人などにカラオケの個室を仕事場として提供する新たなサービスを今月6日から始めました。
防音仕様の個室には机や卓上ライト、電源が用意され、無線によるインターネットも利用できます。

自宅で仕事をしていたけど騒音が…

取材に訪れた際、利用していた20代の女性に話を聞きました。

女性は都内の建築会社で事務の仕事をしていて、新型コロナウイルスの影響で今月初めからテレワークが推奨されているため、週の半分程度は自宅で仕事をしていました。
しかし、自宅のあるマンションが改装工事中で騒音がひどく、困っていたところ、たまたまネットで見かけ、この日初めて利用したそうです。
建築会社勤務の女性
「見積もりを作成するため、関連する会社と電話でやり取りしながらパソコンに入力するので、カフェやコワーキングスペースだと周囲が気になって電話ができず困っていました。カラオケの個室は音が静かで、周りを気にせずに電話もできるのでとても快適です」
利用料金は1時間500円。
ドリンクも1時間につき1杯まで無料で利用でき、コワーキングスペースなどと比べても決して高い料金ではないことも気に入ったといいます。

店によりますと、カラオケ用の大画面モニターに資料を映し出しながらネットによるテレビ会議をしたり、撮影した映像をモニターで再生しながら原稿を書いたりするなど、さまざま使い方がみられるということです。
「パセラ池袋本店」スタッフ 福田美里さん
「テレワークで初めて訪れた方に、ふだん利用していないカラオケに興味を持ってもらえたケースもあり、すそ野が広がるきっかけになればいいと思います。個室の換気やアルコール消毒を徹底するといった対策を行っているので安心して利用してほしい」

ブライダル会場で “入学式”

業界の垣根を越えて、逆境に挑もうという動きも出ています。

全国で卒業式や入学式の中止が相次ぐ中、大手ブライダル会社の「テイクアンドギヴ・ニーズ」は、節目の行事を見送らざるをえなくなった人たち向けに、式場で記念写真を撮影できるサービスを始めました。

式場は1時間の貸し切り制で、チャペルや披露宴会場、プール付きの庭などを舞台に、プロカメラマンによる撮影に臨めます。
ウイルスの感染を防ぐため人数を制限し、1団体につき最大6人までとしています。

撮影できるのは平日の水・木・金曜日の午前11時~午後6時。

料金は50カット 3万9800円と、通常より3割ほど下げたということです。

新型コロナウイルスの感染拡大により、結婚式も日程を延期したり中止したりする動きも出ているそうです。
「テイクアンドギヴ・ニーズ」担当者
「結婚式も卒業式も入学式も大切な節目、ハレの日です。残念ながら式が見送りになってしまった人たちを応援し、元気づけられたらと思っています」

ライブハウス 無観客でライブ配信

政府によるイベントの自粛要請や大阪のライブハウスで集団感染が発生したことなどを受け、各地のライブハウスではライブの中止や延期が相次ぎ、苦境に立たされています。
神戸市にある「神戸VARIT.」も消毒など感染防止策を取ったうえで営業しているものの、3月に入ってライブのキャンセルが続いています。

ライブの中止は観客が音楽を楽しめないだけでなく、アーティストやそのスタッフたちの収入源が断たれることにもつながります。

こうした中、「神戸VARIT.」を含む市内の4つのライブハウスは来月14日、合同でインターネットを通じた無観客のライブ配信を行うことになりました。

ライバルが手を組み「対バン」

ふだんはライバルどうしのライブハウスが手を組み、地元神戸出身のアーティストたちに声をかけ、複数のバンドが順番に演奏する「対バン形式」でライブを行うということです。

動画を配信するプラットフォームや料金は検討中ですが、インターネット上で4つのライブハウスを訪れてもらい、視聴料や広告収入などをアーティストたちに還元する仕組みも考えたいとしています。
「神戸VARIT.」南出渉さん
「ライブができなくなることでアーティストや裏方の人たちの仕事もなくなってきています。神戸からはたくさんのアーティストが出ているし、ライブハウスの垣根を越えて声を上げていくことを決めました。未来のライブハウスの形を模索するきっかけにもしたい」

アイデアで「今」を乗り切れ

相次ぐ自粛やキャンセルで、苦境に立たされる事業者。
先行きが見えない中でも、知恵を絞って新たなサービスで立ち向かおうとしています。

こんなときだからこそ、アイデア次第でよりよい生活を送ることができないか、考えてみるのもいいのかもしれません。