中国政府 「アビガン」に治療効果 診療指針に正式採用へ

中国政府 「アビガン」に治療効果 診療指針に正式採用へ
中国政府は、日本の製薬会社が開発したインフルエンザ治療薬の「アビガン」に、新型コロナウイルスによる肺炎の症状などを改善させる効果が認められたとして、重症化を防ぐ治療薬の1つとして、政府の診療指針に正式に採用する方針を明らかにしました。
中国の科学技術省生物センターの張新民主任は、17日に北京で開いた記者会見で、新型コロナウイルスをめぐり国内の2つの医療機関が行った臨床研究の結果、日本の製薬会社が開発したインフルエンザ治療薬「アビガン」、一般名「ファビピラビル」に、治療効果が認められたことを明らかにしました。

このうち、湖北省武漢の医療機関が行った患者240人を対象にした臨床研究では、「アビガン」を投与した場合は熱が下がるまでの平均日数が2.5日で、投与しなかった場合の4.2日よりも短かったとということです。

また、せきの症状が緩和されるのも「アビガン」を投与した場合は平均で4.57日で、投与しなかった場合の5.98日よりも短く、明らかな副作用も見られなかったと指摘しています。

一方、広東省深センの医療機関が行った患者80人を対象にした臨床研究では、「アビガン」を投与した患者ではウイルス検査の結果が陽性から陰性になる日数の中央値が4日だったのに対し、投与しなかった患者では11日だったということです。

また、エックス線の画像で肺炎の症状に改善が認められた患者の割合は、「アビガン」を投与した場合91%と、投与しなかった場合の62%より高かったとしています。

張主任は、臨床研究で効果が確認された抗マラリア薬の「リン酸クロロキン」とともに、「アビガン」についても患者が重症化するのを防ぐ治療薬の1つとして政府の診療指針に正式に採用する方針を明らかにしました。

一方、すでに重症化した患者については治癒した患者から提供を受けた血しょうなどが効果的だとしていて、症状にあわせて使い分けていく姿勢を示しています。