記念撮影や水産物セール 新型コロナウイルス 各地で支援の動き

記念撮影や水産物セール 新型コロナウイルス 各地で支援の動き
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新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、卒業式がキャンセルになった学生の記念撮影サービスや、需要が減った水産物のセールなど、各地で支援の動きが広がっています。

「せめて、はかま姿を」卒業式中止で記念撮影サービス

卒業式の中止が相次ぐ中、京都市のはかまのレンタル会社が、大学を卒業する学生たちにせめてはかま姿だけでも記念に残してもらおうと、追加料金なしで記念撮影するサービスを行っています。

はかまや着物のレンタル会社の「京都さがの館」が新型コロナウイルスの影響で卒業式が中止となった学生にせめてもの記念にと企画し、はかまのレンタルや着付けなどは有料ですが、写真撮影は無料です。

18日、本来卒業式を迎える予定だった学生や親など約30組が訪れ、学生たちがはかまを着せてもらい、ヘアメイクをしてもらったあと、写真撮影に臨んでいました。

会場では新型コロナウイルスの感染防止のため換気が徹底され、着付けやメイクの担当者が毎回アルコール消毒をしていました。

記念撮影をした井口碧さんは「卒業式が中止になりましたが、こうしたサービスを受けられて本当にうれしかったです」と話していました。

「京都さがの館」の田中威之常務は「卒業式の中止ではかまもキャンセルだと予想していましたが、写真だけでも撮りたいとの要望を多数いただき、追加料金なしで撮影するサービスを始めました。大変な状況ですが、皆さんが笑顔で写真を撮っていくのを見ると本当にうれしいです」と話していました。

臨時休校で“行き場のない牛乳” スーパーが販売

学校の臨時休校で給食用の牛乳の消費が大きく減って酪農家に影響が広がっています。大手食品スーパーが厳しい酪農家を支援しようと、給食向けに出荷する予定だった牛乳の販売を始めました。

大手食品スーパーの「ライフコーポレーション」は、学校の休校で給食がなくなったため出荷先がなくなった牛乳を長野県の農協のグループ会社から仕入れ、今月28日まで首都圏と関西の270店余りで販売を始めました。

牛乳は200ミリリットル入りパックで消費税抜きで1つ78円で販売し、東京・千代田区の店ではほかの200ミリリットル入りの牛乳より2割ほど安いということです。

店の売り場では、もともとは給食用の牛乳だったことを買い物客にアピールして販売しています。牛乳を買った60代の女性は「学校給食用の牛乳がどうなるのか気になっていました。よい取り組みだと思います」と話していました。

ライフ神田和泉町店の成瀬達也店長は「行き場のない牛乳を1人でも多くの人に届け、酪農家さんの支援につなげたい」と話していました。

農林水産省によりますと、学校の給食に出される牛乳は、消費量の1割程度を占めています。給食がなくなって酪農家の収入の減少が心配されるため、国も牛乳を積極的に飲んでほしいと呼びかけています。

車エビにウニ… 需要減の水産物 セールで応援

飲食店への客足が遠のき比較的高価な食材の需要が大きく落ち込む中、大手スーパーでは需要を喚起しようと、ふだんはあまり店頭に並ばないようなウニやタイなどの水産物の販売を始めました。

新型コロナウイルスの感染拡大で日本を訪れる外国人旅行者が減っているほか、宴会を自粛する動きが広がっていることから、料亭やすし店で出されるような比較的高価な水産物の需要が大きく落ち込んでいます。

大手スーパーのイオンは18日から、千葉県習志野市の店舗でこうした水産物の需要を喚起しようと、ふだんはあまり店頭に並ばないようなウニやタイなどのセールを始めました。

販売されているのは沖縄県産の車エビや千葉県産のイシダイ、それにロシア産のバフンウニや花咲ガニなど7種類です。

取り引き価格は去年の同じ時期に比べて3割から4割ほど安いということで、多くの人が刺身などを買い求めていました。

70代の女性は「こういう時だからこそ食べて生産者を応援したいと思います」と話していました。

イオンリテール水産商品部の松本金蔵部長は「外出の自粛が続く中、週末くらいはおいしいものを食べたいというニーズに応えていきたい」と話しています。

セールは22日まで行われ、首都圏にあるほかの一部店舗でも20日から3日間実施することにしています。

国の備蓄マスク4万枚 医療機関に発送 福井

マスク不足を受けて国は、災害などに備えて備蓄していたマスクを医療機関などに優先的に提供することを決定し、福井県には16日、4万6900枚のマスクが届きました。

これを受けて18日、福井県庁で県内の医療機関に向けて発送する作業が行われ、担当職員がマスクが入った箱を次々と車に積み込んでいきました。

マスクは各地の保健所を通じて、ウイルス検査を行う6か所の専門外来など合わせて25の医療機関に届けられる予定です。

福井県によりますと、今月下旬にはさらに約10万枚の備蓄用マスクが追加で提供される見込みだということで、今後の状況を見ながら配布を進めることにしています。

福井県地域医療課の池上栄志課長は「県内の医療機関ではマスクの使用を最低限に抑えるなど工夫しているものの、診療に影響が出かねない状況だという声もあります。追加分を含めて医療機関でのマスク不足は当面解消できると考えています」と話していました。