山陽新幹線の利用者 去年同期比54%減 新型ウイルスの影響

山陽新幹線の利用者 去年同期比54%減 新型ウイルスの影響
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、今月1日から14日までに山陽新幹線を利用した人は去年の同じ時期に比べて、54%減少しました。JR西日本は出張の減少や旅行の取りやめなど、外出や移動を控える動きが広がっているためだとしています。
JR西日本によりますと、山陽新幹線の今月1日から14日までの利用者は速報値で去年の同じ時期に比べて54%減少しました。

北陸新幹線と在来線の特急もそれぞれ56%と57%減少し、京阪神の在来線も34%減少したということです。

JR西日本は企業が出張を減らしているほか、イベントの中止やテーマパークの休園などで旅行の取りやめなど外出や移動を控える動きが広がっているためだとしています。

一方、混雑緩和のため呼びかけている、時差出勤やテレワークについては、JR大阪駅の朝の通勤時間帯の利用客が15%減っているとして効果が出ているとしました。

JR西日本の長谷川一明社長は「イベントの自粛や出張の取りやめなどで国内需要が急激に縮小している。不透明な状況でまだまだ先を見通せない」と述べました。

そのうえで今後、運転士など社員の間に感染が広まった場合について「列車の運行計画の変更もあり得る」という認識を示しました。

関西の鉄道各社 対策に追われる

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて関西の鉄道各社では車両の消毒など対策に追われています。

このうちJR西日本は新幹線と特急に続いて今月9日から通勤などに使われる在来線、およそ4400両も週に1回の消毒を始めました。

大阪 淀川区にある車両基地ではマスクやゴム手袋をした作業員がタオルに消毒液をつけ、車両の中を何度も往復しながらつり革や手すりなどを入念に拭きとっていました。

また車内の換気は天井の排気装置で自動的に行っていますが、シールが貼られた一部の窓ガラスは自分で開けられるようになっています。

このため必要な場合は窓を開けて換気するよう、車内アナウンスで呼びかけを始めたということです。

JR西日本の近畿統括本部の浅井宏樹輸送課長は「新型コロナウイルスの感染が広がっていることを受け、利用客が触れやすい場所を重点的に消毒を行い、対策を徹底したい」と話していました。

駅弁製造会社 売り上げ7割減

新型コロナウイルスの感染拡大で新幹線などの利用者が大きく減少する中、神戸市にある駅向けの弁当を製造・販売する会社では、売り上げが去年の同じ時期に比べておよそ7割減少し、製造する数を減らしたり、パートや派遣社員の勤務日数を減らしたりするなどの対応を迫られています。

神戸市東灘区にある弁当の製造販売会社、「淡路屋」は「引っ張りだこめし」などおよそ80種類の弁当を製造・販売していて、売り上げの8割は新大阪駅など駅での販売だということです。

新幹線や特急電車の利用者が減っている中、1月下旬から弁当の売り上げが徐々に落ち込み、この数週間は去年の同じ時期に比べ7割ほど減っているということです。

このため製造する弁当の種類を4割近く減らし、生産数も1日およそ7000個からおよそ2000個まで減らしているということです。

工場にある弁当を盛りつけるレーンは3つのうち1つを稼働させないようにしていて、およそ60人いるパートや派遣社員も勤務日数を減らすなどの対応をとっているということです。

駅での販売が落ち込む中、会社では近隣の住宅への無料配送による販売や大型スーパーでのイベントへの出展など販売先を増やす対応も始めているということです。

「淡路屋」の柳本雄基常務は「会社にとっては大打撃です。数か月なら持ちこたえられても半年を越えると経営がかなり厳しくなります。パートの人も半分近くが働けなくなっていて先が見えない不安があります」と話していました。