各国中央銀行 相次ぎ金融緩和 景気悪化を警戒

各国中央銀行 相次ぎ金融緩和 景気悪化を警戒
各国の中央銀行は、景気を下支えするための利下げを含めた金融緩和に相次いで踏み切っていて、新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化への警戒が世界に広がっています。
イギリスの中央銀行、イングランド銀行は11日、緊急利下げに踏み切り、政策金利を0.25%にまで引き下げることを決めました。

12日には、ヨーロッパ中央銀行が追加の金利の引き下げは見送ったものの、さまざまな資産を買い入れて市場に大量の資金を供給する量的緩和策について、ことし末まで1200億ユーロを追加することなどを決めました。

さらに、中国人民銀行は13日、金融機関の預金準備率を引き下げ、日本円で8兆円余りの資金を市場に供給すると発表しました。このほかカナダの中央銀行が13日、今月2度目となる利下げに踏み切ったほか、オーストラリアやニュージーランド、マレーシアの中央銀行も今月利下げを決めています。

また、韓国の中央銀行にあたる韓国銀行は16日、政策金利をこれまでで最も低い0.75%に引き下げると発表しました。

FRBが3日の緊急利下げに続いて、15日にも事実上のゼロ金利政策と量的緩和を同時に導入する、異例の危機対応に乗り出したことで、世界的な金融緩和が一段と広がる可能性もあります。

各国中央銀行が金融緩和

新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響を抑えようと、各国の中央銀行も異例の対応に乗り出しています。

世界で株価の下落が続いた今月3日、G7=主要7か国の財務相や中央銀行総裁が緊急の電話会議を開き、世界経済を下振れリスクから守るというメッセージを打ち出しました。

そして、すぐさま動いたのがアメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会です。

臨時で会合を開き、緊急で大幅な利下げに踏み切りました。

その後、カナダやオーストラリアの中央銀行が利下げ、イギリスの中央銀行のイングランド銀行も緊急の利下げ、中国人民銀行が預金準備率の引き下げと資金供給策、そして、ヨーロッパ中央銀行が量的緩和策の拡大と、各国の中央銀行が立て続けに金融市場の安定や、経済への影響を防ごうと政策対応に乗り出します。

しかし、こうした決定にもかかわらず金融市場の動揺は収まらず、12日のニューヨーク市場ではダウ平均株価が2300ドルを超える過去最大の下げ幅を記録。

翌13日の東京株式市場でも日経平均株価が、一時、3年4か月ぶりに1万7000円を下回り、金融市場の混乱は中央銀行の政策対応にもかかわらず、むしろ大きくなっていました。

こうした状況に16日朝、FRBが臨時の会合で事実上のゼロ金利政策と量的緩和に踏み切り、日銀もこれに続く形でETFの買い入れ額を倍増させるなどの追加の金融緩和に踏み切ったのです。