米FRB 事実上ゼロ金利政策と量的緩和 同時導入 異例の対応

米FRB 事実上ゼロ金利政策と量的緩和 同時導入 異例の対応
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アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は15日、臨時の会合を開いて、事実上のゼロ金利政策と量的緩和を同時に導入する、異例の危機対応に乗り出しました。ただ、投資家の間では、新型コロナウイルスの感染拡大でアメリカでも実体経済の悪化が予想以上に深刻になるという不安心理が強まっていて、市場の動揺を抑えられるかは不透明です。
FRBは15日、日本時間の16日朝開いた臨時の会合で、政策金利を一気に1%引き下げて0%から0.25%の範囲とする、事実上のゼロ金利政策に踏み切りました。

また、今後数か月で、国債などを7000億ドル、日本円で74兆円規模で買い入れて市場に大量の資金を供給する量的緩和の再開も決めました。

ゼロ金利政策と量的緩和を行う大規模な金融緩和策は、2008年に起きたリーマンショックへの危機対応でも実施されたもので、企業などが資金繰りに行き詰まらないようにするねらいがあります。

これについてトランプ大統領は会見で、「とてもいいニュースで、アメリカにとってよいことだ。FRBにおめでとうと言いたい」と述べこれまで批判してきたFRBを高く評価しました。

しかし、投資家の間では、新型コロナウイルスの感染拡大によって、アメリカでも実体経済の悪化が予想以上に深刻になるという不安心理が強まっていて、大規模な金融緩和策によって市場の動揺を抑えられるかは不透明です。

FRB議長「マイナス金利が適切とは思えない」

FRBのパウエル議長は15日、事実上のゼロ金利政策の導入を決めたあとの電話会見で「家計や企業を支援するため、あらゆる手段を用いる」と述べ、今後も状況をみながら必要な措置を打ち出す姿勢を強調しました。

ただ、日銀やヨーロッパ中央銀行が導入している、金利を0%よりも下げるマイナス金利を検討するかどうかについて「アメリカではマイナス金利が適切な対応になるとは思えない」と述べて慎重な姿勢を示し、今後、政策余地が限定されるという見方も出そうです。