新型コロナウイルス対策の特措法 成立 「緊急事態宣言」可能に

新型コロナウイルス対策の特措法 成立 「緊急事態宣言」可能に
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新型コロナウイルス対策の特別措置法は、参議院本会議で採決が行われ、賛成多数で可決・成立しました。さらなる感染拡大に備え、総理大臣が「緊急事態宣言」を行い、都道府県知事が外出の自粛や学校の休校などの要請や指示を行うことが可能になります。
新型コロナウイルスのさらなる感染拡大に備え、総理大臣が「緊急事態宣言」を行い、都道府県知事が外出の自粛や学校の休校などの要請や指示を行うことを可能にする特別措置法案は、12日、衆議院を通過し、13日、参議院内閣委員会で質疑と採決が行われた結果、賛成多数で可決されました。

また委員会では衆議院内閣委員会と同じく、▽緊急事態宣言にあたっては、緊急でやむをえない場合を除き国会に事前に報告することや、▽その後の状況を適時、報告することなどを盛り込んだ付帯決議も賛成多数で可決されました。

このあと午後4時ごろから開かれた参議院本会議で、採決が行われた結果、新型コロナウイルス対策の特別措置法は自民・公明両党のほか、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決・成立しました。

特別措置法は13日夜、公布され、14日から施行されます。また、政府は新型コロナウイルスを、来年1月末まで法律の対象とする政令を決定しました。

緊急事態宣言「慎重に判断することが必要」官房長官

菅官房長官は午後の記者会見で、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言について「国民生活に重大な影響を与えることに鑑み、国会でのご指摘も踏まえ、多方面からの専門的な知見に基づき、慎重に判断することが必要だ」と述べました。

西村経済再生相「国民の権利制限は必要最小限 常に頭に」

特別措置法を担当する西村経済再生担当大臣は記者団に対し「野党の協力もいただき、迅速な審議・採決に至ったことに感謝申し上げたい。万が一、感染が拡大し、国民の生命を守らなければならなくなった時のための措置が取れるようになった」と述べました。

また、国民の権利の制限に対する懸念があることについて、西村大臣は「必要最小限となるようにするという非常に重い規定があり、常に頭に置いて運用しなければならないと肝に銘じている。特に専門家の意見を聞くことが大事だ」と述べました。

さらに「国会で、さまざまな議論をいただいたので、終息したあと、よりよい仕組みや制度になるよう検討を加えていきたい」と述べました。

自民 世耕参院幹事長 「緊急事態宣言は専門家の判断で」

自民党の世耕参議院幹事長は記者会見で「危機的な状況に対応する上で、非常に重要な特別措置法だ。WHOがパンデミックと表明し、経済面でも大きな影響が出る中あらゆる事態に対応していかなければいけない。全く望まないが、万が一、事態が拡大してきた場合は、非常に強い対応をとることができるようになった」と述べました。

そのうえで「緊急事態宣言」については「私権の制限にも関わるので、政治的なファクターで判断すべきではない。専門家の判断に基づいて行われるべきだ」と述べました。

公明 山口代表「適用しないで済むよう」

公明党の山口代表は、記者団に対し「法的枠組みが速やかに整備され、よかった。しかし、議論の過程で、私権の制限に結び付くことに対する不安や懸念も示されたので、政府として、適用しないで済むよう、感染拡大の防止を図ってもらいたい」と述べました。そのうえで、「緊急事態宣言」について、「要件を厳しく吟味することが重要だ。現時点では宣言を発する状況にはないという専門家の意見を尊重したい」と述べました。

立民 福山幹事長 「政府は非常に遅い上にまずい対応」

立憲民主党の福山幹事長は記者団に対し「政府には『現行法の適用で迅速に対応しろ』と言ってきたが、政府は『適用できない』と言い、きょうの成立となった。政府はこれまで非常に遅い上にまずい対応を重ねてきた。緊急事態宣言を出すなど法律を運用するにあたっては、しっかりと根拠や理由を説明する責任がある」と述べました。

国民 玉木代表「政府を厳しく監視したい」

国民民主党の玉木代表は記者団に対し「求めたことがかなり付帯決議に盛り込まれたので賛成した。学校の一斉休校や大型イベントの自粛の要請を法律に基づいて行えるようになったが、緊急事態宣言を行えば、私権の制限が強く働くおそれがある。付帯決議の内容が守られるかどうか、政府を厳しく監視したい」と述べました。

維新 浅田政調会長「平時に改めて議論を」

日本維新の会の浅田政務調査会長は記者団に対し「世界的に緊急事態に準じるような状況なので賛成した。しかし、総理大臣が国会の承認がないまま国民の権利を制限することを認めるのは、立憲主義にのっとったものではないため、平時に改めて議論をして、もっとよい法律を作るべきだ」と述べました。

共産 小池書記局長「厳しく監視」

共産党の小池書記局長は記者団に対し「緊急事態宣言を出す際に専門家の意見を聴くための条文がないなど、質疑で、さまざまな問題が明らかになる中、可決・成立させられてしまったことは、大変、遺憾だ。私権の制約など、恣意的(しいてき)な運用がなされないよう厳しく監視していきたい」と述べました。

立民 石垣参議院議員「拙速に改正すべきではなかった」

採決を前に本会議場を退席した立憲民主党の石垣のりこ参議院議員は、記者団に対し、「現行法を適用すべきだという話が党内から出ており、緊急時に拙速に改正すべきではなかった。安倍総理大臣から野党側に協力を呼びかけられた段階で、『応じられない』と判断すべきだった」と述べました。