福島 富岡町 避難指示を一部解除 JR常磐線は14日全線再開へ

福島 富岡町 避難指示を一部解除 JR常磐線は14日全線再開へ
東京電力福島第一原発の事故による避難指示が、福島県富岡町のJR常磐線の駅や名所の桜並木の一部で10日午前6時に解除されました。常磐線は駅に出されていた避難指示がこれですべて解除され、今月14日に9年ぶりに全線で運転を再開します。
10日、富岡町で避難指示が解除されたのは、JR夜ノ森駅や「夜の森の桜並木」の一部などの周辺の道路、合わせて0.07平方キロメートルです。

これまで放射線量が比較的高く、立ち入りが厳しく制限される帰還困難区域となっていましたが、除染が行われ、避難指示が解除されました。

原発事故のあと、JR常磐線の駅は最も多い時で福島県内の9つの駅に避難指示が出され、このうち3つは帰還困難区域に含まれました。

10日ですべての駅の避難指示が解除され、常磐線は今月14日、9年ぶりに全線で運転を再開します。

また、花見の名所として知られる町のシンボル「夜の森の桜並木」は、全長2.2キロメートルのうち、3年前に300mで、今回500mで避難指示が解除され、ほぼ3分の1で自由に立ち入りができるようになりました。

富岡町では引き続き北東部の8平方キロメートルが帰還困難区域で、今後も行政の許可がなければ自宅がある住民でも立ち入ることはできません。

このうち3.9平方キロメートルは3年後に避難指示の解除が計画されていますが、それ以外の見通しは示されていません。

富岡町長「全域解除への足がかり」

避難指示が解除されて立ち入りを規制するためのバリケードが開かれると、富岡町の宮本皓一町長は町の名所の「夜の森の桜並木」を歩きました。

つぼみがわずかに膨らんだ枝を眺めながら、JR夜ノ森駅まで歩みを進めました。

駅前で取材に応じた宮本町長は「小さいころから町で育ち、目をつぶってもどこかがわかるぐらいの道で、かみしめて一歩一歩、歩いた。建物が解体されさら地になったところもあり、悲喜こもごもだ」と述べました。

10日、富岡町で避難指示が解除されたのは駅や道路に限られ、立ち入りが厳しく制限される帰還困難区域が残ることについて宮本町長は「建物の解体や除染、インフラ整備にしっかりと取り組んでいきたい。今回、帰還困難区域の全域での解除をめざせる足がかりができた」と述べました。

桜並木のうち3分の1で自由に立ち入りできるようになったことについては「この時期、町民は心が躍る。桜で心がつながっているので、喜んでもらえると思う」と述べました。

桜並木に住民ら集まる

避難指示が解除されると、JR夜ノ森駅や周辺の桜並木には富岡町の住民や復興関連の団体で活動するインターンシップの大学生たちが訪れていました。

去年、夫の仕事で神奈川県から富岡町に移住した30代の女性は「震災前から町の皆さんが楽しみにしていた桜なので思いが詰まっているんだろうなという気持ちで眺めていました。私はまだ見たことがないのでことしの春にはぜひ訪れてみたいです」と話していました。

町内で暮らす40代の男性は「夜ノ森駅は高校時代に通学で使っていたので解除になり感慨深いです。ただ、震災前の自宅があった地区はまだ解除の見通しが立っていないので、さらに除染を進め、住める場所を増やしてほしいです」と話していました。

JR夜ノ森駅構内のツツジ 開花を待ち望む

避難指示が解除されたJR夜ノ森駅では原発事故のあと伐採されたツツジが再び育って葉が茂り、住民が開花を楽しみにしています。

夜ノ森駅の構内には震災前、6000本のツツジが植えられ、桜並木と並ぶ名物となっていましたが、原発事故の影響で放射性物質が検出され、伐採されました。

しかし一部の木で伐採されたあとの根から幹や枝が育ち、去年初めて花を咲かせたということです。

3年前に避難指示が解除されたあと、夜ノ森駅の西側の地区で美容室の営業を再開した佐々木千代子さん(62)は、大好きだったツツジを見て、励まされています。

佐々木さんは「ツツジが大きくなるにつれて富岡も復興しているような気がして、自分も頑張っていこうと勇気づけられました。今回、駅に入れるようになって多くの人が訪れるようになると思うので、ツツジの姿を見てほしいです」と話していました。