中韓からの到着便が大幅減 利用者ゼロの便も

中韓からの到着便が大幅減 利用者ゼロの便も
中国と韓国から入国する人を対象とした待機要請が始まった影響で、成田空港では、新型コロナウイルスの感染が拡大する前と比べて到着便の数が大幅に減少し、なかには利用者が1人も乗っていない機体も出ています。
中国と韓国から入国する人を対象とした政府の待機要請に伴い、成田空港では韓国の航空大手2社が直行便の運航をすべて取りやめるなどの動きが出ています。

空港会社によりますと、国内で新型コロナウイルスの感染が拡大する前の1月中旬は、
▽香港やマカオを含む中国から1日平均で65便、
▽韓国から25便が到着していました。

しかし、待機要請が始まった9日は、
▽香港やマカオを含む中国が10便、
▽韓国が3便と大幅に減少したということです。

また、航空各社によりますと、運航はしても、利用者が1人も乗っていない便や、2人しかいなかった便などが出ているということです。

成田空港会社は「中国やアジア各国を中心に感染が広がり、対応が長期に及んだSARSの時の影響を上回ることも想定して対策を考えていきたい」と話しています。

福岡空港 9日の中国便と韓国便がすべて欠航に

福岡空港では、9日の中国便と韓国便のすべてが欠航となりました。

国土交通省の福岡空港事務所によりますと、福岡空港を発着する国際定期便は、先月の時点で週に最大でおよそ770便が計画されていました。

これまでの新型コロナウイルスの影響などで、今月に入ってからは、週におよそ650便に減っていましたが、今回の措置を受けて、9日の時点でさらに410便が欠航を決めたということです。

欠航が決まった便はすべて、中国便と韓国便ということです。

福岡空港の国際線ターミナルは、ふだんは多くの人で混雑しますが、9日は到着便の表示板に「欠航」の文字が並び、ロビーは閑散としていました。

これからハワイに新婚旅行に向かうという夫婦は「空港はいつもより少ないですね。除菌シートとマスクを持っていきます」と話していました。

また、フィリピンから訪れたという観光客は「中国便と韓国便の欠航は感染拡大防止のためにはしかたないことだと思います。私たちも手洗いやマスク着用で対策しようと思います」と話していました。

一方、運航の取りやめの影響は利用客だけではありません。

福岡空港の運営会社は、滑走路の使用料や着陸料が主な収入源となります。

また、ターミナルビルのテナントの飲食店や販売店なども売り上げに影響を受けます。

運営会社では、欠航などの影響が長期化した場合、「大きな打撃になる」として、今後の動きを注視しています。

影響は海にも 高速船やフェリーも運休

九州の海の玄関口、博多港も影響を受けています。

博多港や対馬と、韓国のプサン(釜山)を結ぶ高速船「ビートル」は9日からから今月31日まで運休することを決めました。

このほか同じく博多港とプサンを結ぶフェリー「ニューかめりあ」も今月31日まで旅客の運航を取りやめました。

国際ターミナルでは、全便欠航の案内が表示され、窓口は閉まっていました。

隣接する銀行の両替窓口も臨時休業しています。

長期にわたる運休は、ターミナルに入る飲食店にも深刻な影響を与えています。

2つある飲食店は9日はいずれも開いていますが、一般の客はほとんどいない状態となっています。

韓国料理店の店主は「ターミナルで働いている人たちが食事するところがないので、そのために店を開けようかと思っています。テナントの家賃を払わなければならず、かなり厳しいです。自分たちも生活がかかっているので、なるべく早くお客さんに戻ってきてほしいですね」と話していました。

観光業などへの影響 懸念

今回の措置により、中国と韓国からの旅行者はさらに減少するとみられ、観光業などへの影響が懸念されます。

日本政府観光局によりますと、去年1年間に日本を訪れた外国人旅行者のうち、中国からの旅行者は959万人余りで国や地域別で最も多く、2番目に多い韓国からの旅行者はおよそ558万人で、この2か国だけで、全体の半分近い47%を占めています。

日本国内で消費した金額は、両国からの旅行者を合わせて2兆1900億円にのぼると推計されていて、インバウンド消費の増加をけん引してきた形です。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、先月の時点では、出入国在留管理庁のまとめで新たに日本に入国した中国人は6万人を下回り、去年の同じ月と比べて10分の1近くまで減少し、すでに激減しています。

今回の水際対策の強化に伴って、中国と韓国からの旅行者は当面さらに減少すると見られ、観光業などへの影響が懸念されます。