プロ野球開幕延期 4月中の開幕目指す 新型ウイルス感染拡大で

プロ野球開幕延期 4月中の開幕目指す 新型ウイルス感染拡大で
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、プロ野球は感染症の専門家からの助言を踏まえ、今月20日のシーズン開幕を延期し、来月中の開幕を目指すことを決めました。
プロ野球の12球団などは9日午後、東京都内で臨時の代表者会議を開き、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、今月20日に迫ったシーズン開幕の扱いをどうするかについて協議しました。

会議では午前中に開かれたプロ野球とサッカーJリーグによる2回目の「対策連絡会議」で感染症の専門家から現段階での開催は危機管理の面などから延期が望ましいとする助言があったことを踏まえ、シーズンの開幕を延期し、来月中の開幕を目指すことを全会一致で決めました。

そして、今月12日に再び代表者会議を開いて開幕の時期を協議することにしています。

シーズンの開幕が延期されるのは東日本大震災のあった9年前の平成23年以来です。

斉藤コミッショナー「大変苦しい判断」

斉藤惇コミッショナーは、会議のあとの会見で「延期は、もうやむをえないということで全会一致で決まったが、大変苦しい判断だった。われわれの一致した考えは、観客を入れて143試合やることを最優先すること。あらゆる想定をして日程のシミュレーションをしている。引き続き専門家の意見を参考にしながら、遅くとも4月中に開幕できるよう目指したい」と話しました。

また開幕の延期に伴うレギュラーシーズンの日程の確保のため、クライマックスシリーズや、オールスターゲームなどを縮小する選択があることを示したうえで、現在中断が決まっているオリンピック期間中を利用する可能性についても「相当最悪のケースだが、最悪の場合、ないことはない」と述べました。

各球団からは

会議に出席した各球団の代表者は開幕延期はやむをえないと口をそろえながらも、レギュラーシーズン143試合は必ず実施したいという声が相次ぎました。

西武の飯田光男球団本部長は「開幕の延期はやむをえない。143試合の実施を最優先に、どうしたら試合数を確保できるのか、延期した分をどれだけシーズンの後ろに持っていけるのかを具体的に検討していく」と話していました。

阪神の谷本修球団本部長は「現時点の判断としてはしょうがないし、やむをえない。143試合を無観客ではなくやりたいと、12球団共通で腹を決めた」と話していました。

出席者によりますと、会議では無観客で試合を開催したいという意見は出なかったということで、ヤクルトの江幡秀則専務は「プロは興行だから高校野球とは違う。無観客だとプロ野球の存在そのものが問われる」と話していました。

また、試合日程の再調整への対応に苦慮する声も聞かれました。

広島の鈴木清明球団本部長は「クライマックスシリーズをどうするのか、あるいは選手会と話をして12月まで試合をできるのかなど、いろいろなシミュレーションしていかないといけない」と話していました。

DeNAの三原一晃球団代表は「クライマックスシリーズをやらないという可能性や、12月まで試合をするという選択肢もあると思うが、きょうの時点ではまだ具体的な話はしていない。開幕までの期間、何をやるかも今月12日の会議で決めることになると思う」と話していました。
日本ハムの川村浩二球団社長は「苦渋の決断だ。きょうは次の段階として通常どおり143試合はやりたいという中で、スケジュールや開幕したいというわれわれの思いと社会とのすりあわせはどうしたらいいのか、試合を開催するにあたっての基準はどうすればいいかということを多角的に協議した。結論は今月12日に出ると思う。新たな開幕日が決まるのはこれからだ」と話していました。
中日の矢野博也球団社長は名古屋市東区の球団事務所で取材に応じ、「東京オリンピックも予定される中、日程的には非常に厳しいことになると思う。ファンの皆さんに、早く安心してプロ野球を見ていただけるように、関係各方面と話し合いを進めていきたい」と話していました。
阪神の矢野燿大監督は「3月20日の開幕に合わせていたので残念な気持ちはあるが、ウイルスが広まっているのでこの判断はしかたないことだと思う。しっかり調整してきたので、いつやっても大丈夫という状態ではいられると思う。新たな開幕日に合わせてやるしかない」とコメントしています。
楽天の三木肇監督は「いろいろな中での判断だと思います。選手が少しでもよい形で開幕を迎えられるよう、修正、調整、対応に努めていきたいと思います」とコメントしています。
DeNAのラミレス監督は「開幕は延期となったが、リーグ優勝、日本一を獲得するという目標は変わらない。チームとしては来るべき開幕に向けて変わらず準備をしていきます。ファンの皆様におかれましては予定より開幕は遅れますが、これまでと変わらず温かいご支援をよろしくお願いします」とコメントしています。

選手会長の石田健大投手は「私たちができることは日常生活から新型コロナウイルスの感染を予防すること、そして勝利のために変わらぬ準備をすることだと思っている。開幕を迎えた際にファンの皆様の前で最高のプレーができるよう、より一層気を引き締めて準備をしていく」とコメントしています。

岡村信悟球団社長は「球場に来場するファン、チームをはじめとした関係者、すべての方々の健康を第一に考えこのような決断に至った。開幕を楽しみに待っていた皆様におかれましては、このような決断になり大変申し訳ない。開幕を安全に迎えられるよう全力を尽くしていく」とコメントしています。