感染拡大 オンラインでお別れって

感染拡大 オンラインでお別れって
例年、毎年3月は卒業式や送別会など、クラスメイトや職場の同僚たちとのお別れの行事が各地で開かれます。
ところが、ことしは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにあちこちで中止に。
こうした中、広がっているのが「オンラインでのお別れ」です。
(ネットワーク報道部記者 斉藤直哉・和田麻子)

ネット上では

一生に一度かもしれないお別れの機会がなくなってしまったことを悲しむ声が相次いでいます。
「卒業証書等郵送されるんだってさ。人生最後の卒業式が…。
クラスの一部の友達には会えたけど、会えない子もいるし悲しすぎる」
「4年間頑張ったバイト、コロナの影響で送別会もやってもらえないのほんと切ない」
「職場で20年以上貢献してきた人の送別会がコロナでなくなったらしい。かわいそう」

試しにオンラインで…

一方、都内に住む38歳の会社員の男性は先月、インターネットを使って送別会の開催を試みることにしました。
大学時代の友人が会社の都合で岐阜県に転居することになり、ほかの友人1人と飲食店で送別会を企画していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大でやむなく中止にしました。
困っていたところ、妻のアドバイスがきっかけでビデオ会議のソフトを使って「オンライン送別会」を開いてみると、それぞれ顔が見える形で画面の中で集まることができ、思いのほか楽しい会になったといいます。

手酌で画面越しに乾杯

会社員の男性
「1か月以上前から企画していて中止にするのが残念だったので開いてみました。それぞれ手酌で画面越しに乾杯して、食べ物も家の冷蔵庫にあるものだったのですが、とても楽しかったです。いつもの雰囲気で、これからも頑張ってほしいという気持ちを伝えることができました。送られる側も喜んでくれました」
またオンラインであれば、待ち合わせや店の予約などが必要なく、それぞれ自宅にいて、時間だけ指定すれば、気軽に開けたといいます。
さらに、男性には0歳から6歳までの子ども3人がいて、外での飲み会に参加すればウイルスが家庭に持ち込まれるのではないかと家族にも抵抗感があったということですが、オンライン送別会ではそういった心配はなく、画面を通じて友人とお互いに子どもの顔を見せあうこともできたということです。
マイク越しだとお互いの声が聞き取りにくいという難点もありましたが、男性は今後も状況によっては、オンライン送別会を活用していきたいとしています。
会社員の男性
「私たちはともに大学で情報系を学んでいて、もともとオンラインに抵抗はありませんでした。他の人にも送別会の選択肢の1つとして知ってもらいたい」

オンライン飲み会 よかったこと・困ること

送別会ではありませんが、新型コロナウイルスの影響で飲み会をオンラインで開いたという投稿はSNSで複数見られました。
このうち、神奈川県の40代の女性は、地元の友人などを招いてオンラインの飲み会を開き、そこで気付いた「やってよかったこと」「困ること」をブログで紹介しています。

まず、「やってよかったこと」としては
▽物理的に遠くの場所の人とも気軽に話すことができる
▽自分の好きなものを飲んだり食べたりできる
▽空いたグラスを見て「次どうします?」が発生しない(無理やり飲まなくても大丈夫)
▽気楽な格好で参加できる(上半身しか写らないので下がジャージでもバレない)
▽音声だけでの参加も可能(自分を見せずに参加できるので、すっぴん・パジャマ姿でもOK)
▽家で料理したものを食べるので、唐揚げなどの最後の1つの「どうぞどうぞ」が発生しない
▽よくある飲み会だと小さなグループが発生するがみんなが会話に集中できる
▽途中参加でも気遣わなくて済む

▽当日都合が悪くなったとして欠席してもキャンセル料が発生しない
▽奥の席に座っていてトイレに立つときに「ちょっとごめんなさい」とみんなを立たせることがない
一方、「困ること」としては
▽「聞こえてますか?」の確認で時間消費する
▽会話が1人の発言だけになるのでトーク回す人が必要
▽自分の顔をみながら話すのがちょっと嫌だ(ふだんは自分の顔を見ながら飲むことはありえないので)
主催した女性
「オンラインならではの飲み会になりました。中には、自宅で家族と鍋を囲みながら参加してくれた人もいて飲み会の新しい可能性を感じました」

異例の式でも一体感を

オンラインで卒業式を開いたところ、“忘れられない式になった”という学校もあります。

北海道南西の日本海にある奥尻島唯一の高校、奥尻高校です。
今月2日に開かれた卒業式は、卒業生11人と職員およそ20人だけが出席して開かれることになりました。
新型コロナウイルスの影響で、保護者や在校生の出席は取りやめたためです。
いつもと違って、がらんとした会場。
しかし、ステージのスクリーンには自宅から式の様子を見守る在校生51人一人一人の様子が映し出されました。

ステージにみんなが

パソコンやスマートフォンを使って、卒業生と在校生を結ぶ“オンライン卒業式”が開かれたのです。
なんとかして皆で3年生を送り出そうと、知恵を出し合って決めた方法でした。
式では、卒業生代表のことばがライブで自宅の在校生たちにも伝えられたほか、卒業証書を受け取ると会場に設置した端末を通して、在校生に手を振って別れの気持ちを伝える生徒の姿もありました。
一方、自宅にいる在校生からは拍手する姿がスクリーンを通じて会場に届けられたほか、式のあとのホームルームでは、オンラインで在校生と卒業生が一緒に歌を歌って門出を祝いました。
奥尻高校 井上壮紀教頭
「これまで英語の授業で、オンラインでニュージーランドの高校生と結び、英語を学んだ経験があり、卒業式でもオンラインを活用したいと提案がありました。インターネットを使った技術の進歩と皆の思いがつながり、卒業式の新たな形ができたと思っています」
卒業生の滿島塁さん
「入場した時は会場の拍手がまばらで少しさみしかったですが、式が始まるとオンラインで在校生全員の顔が見れたので、うれしかったです。卒業証書をもらった時も在校生が見ることができる端末に向かってポーズしました」
そんな滿島さんがちょっとつらいと感じたのは、式の開始が朝6時半と早かったことです。
実は、前日の1日午前10時に予定していた卒業式が新型コロナウイルスの影響で、急きょ2日に変更されたためです。
2日は、3年間だけ島で下宿し学校生活を送った卒業生3人がフェリーで島を離れる日だったため、出港の時間に間に合うよう式の時間を早めたのです。
式のあと、全員でフェリー乗り場に移動し、3人を見送ったといいます。
卒業生の滿島塁さん
「最初は卒業式はどうなるかと心配しましたが、逆に、忘れられない式になりました。最小規模の卒業式でしたが、感動は最大級だったと思っています」