北海道の宿泊施設 観光客減少で感染防止対策強化 格安プランも

北海道の宿泊施設 観光客減少で感染防止対策強化 格安プランも
新型コロナウイルスの感染が相次いでいる影響で、北海道の宿泊施設では観光客が減少し、売り上げが例年を大きく下回っています。北海道内のホテルでは、客に安心して利用してもらおうと感染防止対策を強化したり、通常の半額以下で宿泊できる特別プランを始めたりしています。

レストランの座席間隔を広げる対応

札幌市中央区のホテルオークラ札幌は観光客の減少で先月25日からの9日間の売り上げが例年の同じ時期と比べて6割ほど減っています。

ホテルのレストランでは、テーブルの数を減らして座席の間隔を広くし、飛まつ感染を防いだり、テーブルの上に置いている塩や砂糖といった調味料入れは、客が替わるごとにアルコールで拭きとって消毒したりしています。

ホテルオークラ札幌企画広報課の今井美佳課長は「緊急事態宣言が出されてから予約のキャンセルのが相次ぎ、店内は寂しい様子です。できるかぎりの安全対策をしているので、少しでも早く通常の日常が来るようにできることをしていきたいです」と話していました。

ビュッフェ形式の朝食を中止

札幌市中央区の札幌パークホテルではビュッフェ形式の朝食を取りやめ、代わりに定食を提供する対応をとっています。

好きな食材を好きなだけ自分で取れるビュッフェを楽しみにしていた客は多いということですが、料理を取り分ける際に感染の機会が増えるおそれがあるとして、今月1日からビュッフェ形式の朝食を取りやめています。

またホテルではロビーの待合スペースのソファーや受付のカウンターなど、客が直接触れる場所を1時間に1回程度、従業員がアルコールで消毒しています。

札幌パークホテルマーケティング課の澤田幸和課長は「例年この時期は部屋の稼働率が8割から9割になりますが、ことしは3割ほどにとどまっている。感染拡大を防ぐためには今できることをするしかないが、なんとか早く収束してほしい」と話していました。

半額以下で宿泊できる特別プラン

北海道登別市にあるホテルでは通常の半額以下で宿泊できる特別プランを始めました。

「登別国際観光コンベンション協会」によりますと、道内有数の観光地、登別温泉では新型コロナウイルスの感染拡大の影響で宿泊施設のキャンセルが相次ぎ、少なくとも2つのホテルが4月24日までの休館を決めたということです。

また登別市のカルルス温泉にあるホテル「深山の庵いわい」では今月、10人から30人規模の団体客の予約が8件入っていましたが、すべてキャンセルとなりました。

このホテルでは少しでも利用者を増やそうと、2月下旬から通常の半額以下で宿泊できる特別プランの売り出しを始めました。

その結果、小学生の子ども連れの家族など、新たに340件余りの予約が入ったということです。

ホテルでは館内の消毒と換気をこまめに行うとともに、エレベーターを使わず階段を使うよう呼びかけています。

ホテルを運営する会社の伊藤貴仁常務は「正直に言うともうかりませんが、新型コロナウイルスの感染拡大が終息したあとにも訪れてもらえるようにしたかった。100年以上続いている温泉の伝統を守っていきたい」と話していました。