イタリア 8日までに7375人感染 366人死亡 新型ウイルス

イタリア 8日までに7375人感染 366人死亡 新型ウイルス
イタリア政府の発表によりますと、8日までに7375人が新型コロナウイルスに感染し、366人が死亡しています。
最初に感染者が確認されたのはことし1月30日で、中国で感染が深刻な湖北省からイタリアに観光で訪れていた中国人夫婦が、感染していることがわかりました。

その後は、しばらく新たな感染は確認されませんでしたが、2月21日に北部のロンバルディア州で、38歳の男性に感染が確認されて以降、北部の州を中心に感染者の数が増えていきました。

2月27日以降は、1日に確認される新たな感染者の数が、百数十人から数百人のペースになり、今月7日には、この日だけで1000人を超える感染者が新たに確認されました。

今月に入ると死者も増え、8日には亡くなった人の数が前の日より1.5倍以上増えて366人となりました。

イタリア政府によりますと、感染が広がっている地域は北部が中心で、現地時間8日夕方の時点で、ロンバルディア州で4189人、エミリア・ロマーニャ州で1180人、ベネト州で670人、ピエモンテ州で360人となっています。

菅官房長官「日本人9000人か 状況を注視」

菅官房長官は午後の記者会見で、水際対策の一環として、感染が広がるイタリアからの入国者に対し2週間の待機を要請するかどうかについて「感染の急激な拡大が確認されている中、政府として緊張感を持って注視し議論を行ってきている」と述べました。

そして、イタリアにいる日本人の数について、在留届けなどからおよそ9000人が見込まれるとしたうえで「イタリアの状況はチャーター機を出した中国・湖北省とは異なり、邦人が自分の意思で域外に出ることができないという状況にあるとは認識していない。いずれにしろ、邦人保護の観点から、できるかぎり支援していきたい」と述べました。

イタリア北部滞在後に感染確認相次ぐ

新型コロナウイルスの感染者が増えているヨーロッパでは、感染拡大が深刻なイタリア北部への渡航歴のある人に感染が確認されるケースがみられます。

このうちベルギーやクロアチア、それにギリシャの保健当局は、それぞれの国で判明した感染者の中に、イタリア北部を訪れ、その後、感染が確認された人が含まれていることを明らかにしています。

一方で、ヨーロッパ各国ではイタリアへの渡航歴がなく、感染経路が不明なまま集団感染が起きているケースも複数、確認されています。

イタリアへの渡航歴がある感染者が確認されるケースは、アジアの国にも見られ、タイでは42歳のタイ人が、イタリアから帰国したあとに感染が確認されました。

ローマ在住の日本人は

イタリアで新型コロナウイルスの感染が拡大していることについて、首都ローマは移動の制限の措置の対象にはなっていませんが、これまでに77人の感染が確認されています。

ローマに住む中村理香さんはNHKの取材に応じ、現地の様子について、「スーパーマーケットで慌てて買い物をしている人もいて、保存ができるパスタやビスケット、トマトソースなどが特に品薄になっています」と話し、日常生活にも影響が出ているとしています。

市民の感染拡大への警戒感は強く「ふだんは、握手したりほおにキスをしたりしてあいさつするのですが、なるべく触らないように遠くからあいさつする人も増えています」と話していました。

中村さんの夫が家族の付き添いで病院を訪れた際には、この病院で感染の疑いがある人が見つかったことから、同僚から「会社に来ないでほしい」と言われたり、親戚に会いにいけなくなったりしたということです。

また、イタリア北部を中心に感染が拡大しているため、この地域への出張を取りやめてテレビ会議に切り替えたり、休暇でスキーリゾートを訪れる予定をキャンセルしたりする人も増えていると話していました。

また中国から感染が広がったという印象からアジアに関係するものが避けられる傾向が見受けられ、市内の中国料理のレストランはほとんど客がいない状況だということです。

ヨーロッパの中でもイタリアで感染が急速に拡大していることについて、中村さんは「ローマとミラノは東京と大阪のように日帰りで移動する人もいるので、感染者がいつローマに来てもおかしくないし、観光客も多いのでコントロールもできないと思う」と不安を口にしていました。