新型コロナウイルス感染拡大で なぜ円高ドル安に?

新型コロナウイルス感染拡大で なぜ円高ドル安に?
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、なぜ円高ドル安が進むのか。一つはアメリカで感染拡大が続き、世界最大の経済大国の景気落ち込みを懸念したドル売りが起きているためです。
新型コロナウイルスの感染拡大は当初、中国などアジアに限られ、長期化しないだろうといった見方をする投資家もいました。

ところが先月下旬、アメリカ国内で感染が相次いで確認されると市場の雰囲気が一変し、アメリカ経済が先行きが不安視されるようになりました。

特に、ここ数日、ニューヨーク州などで相次いで非常事態宣言が出されたことで投資家の懸念が一気に強まり、9日の東京外国為替市場では、ドルを売って円を買う動きが加速。

一時、1ドル=101円まで円高ドル安が進みました。

また、アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会が3日に決定した緊急の利下げも背景の一つです。

FRBが、市場の動揺を抑えようと大幅な利下げを決めたことで、外国為替市場では金利の低くなったドルが、以前よりも売られやすくなっています。

さらに、国際的な原油価格の急落が市場の動揺に拍車をかけました。

きっかけは、OPEC=石油輸出国機構と非加盟のロシアの協議が不調に終わり、協調減産の継続で合意できなかったことですが、東京商品取引所では、原油の先物価格が先週末に比べて1万円余り、率にして30%を超える値下がりを記録しました。

中東の産油国に加え、世界有数の産油国でもあるアメリカ経済にも打撃になりうるとして、リスクを避けたい投資家がドルを売り円を買う動きを加速させる形になっています。

こうした要因が重なって急速な円高を招いています。