「緊急事態宣言」可能にする法案 13日成立へ

「緊急事態宣言」可能にする法案 13日成立へ
新型コロナウイルスのさらなる感染拡大に備え、「緊急事態宣言」を可能にする法案は、今週13日に参議院本会議で採決され、成立する見通しとなりました。
政府は新型コロナウイルスのさらなる感染拡大に備え、総理大臣が「緊急事態宣言」を行い、自治体による外出の自粛や学校の休校などの要請や指示を可能にする法案について、政府は衆議院議院運営委員会の理事会で10日閣議決定して国会に提出すると説明しました。

また自民党の末松参議院国会対策委員長と、立憲民主党の芝参議院国会対策委員長は9日、国会内で会談し、参議院での審議日程を協議しました。

その結果、末松氏によりますと、法案が今週12日に衆議院を通過したあと、参議院の内閣委員会で審議し、翌13日に本会議で採決して成立を図ることで合意したということです。

自民 政調会長「万が一に備えるための法案」

自民党の岸田政務調査会長は記者会見で、「現在は『緊急事態宣言』を出す状況にないが、万が一に備えるための法案だ」と述べました。

一方、野党側が求める国会の事前承認については「法律に従って丁寧に運用していく中で国民の理解を得ることが大事だ」と述べ、否定的な考えを示しました。

また自民党の森山国会対策委員長は記者団に対し、「緊急事態宣言」を行う際の国会への報告について、「国民の私権を制限する話なので、できるだけ国会に事前に通知することが大事だ。与野党の協議が整えば、付帯決議に盛り込めばいい」と述べました。

首相「早期成立を期す」

自民党の役員会で安倍総理大臣は「新型コロナウイルス感染症による国民生活や経済への影響を最大限緩和するため、あす、第2弾となる緊急対応策をまとめる。『緊急事態宣言』を想定した法的枠組みを整備する法律の改正案も、あす閣議決定する。野党の協力をいただきながら、早期の成立を期していきたい」と述べました。

また自民党は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期した党大会に代わって、今月17日に両院議員総会を開き、ことしの運動方針などを決めることを確認しました。

国会周辺には法案に反対する人たちが集まる

国会周辺には「緊急事態宣言」を可能にする法案に反対する人たちが集まりました。

参加者は感染を防ぐため、マイクをアルコール消毒しながら「『緊急事態宣言』は人々の行動や施設の使用などを過剰に制限するおそれがある」とか、「市民生活や経済への影響も大きい」などと、抗議の声を上げていました。

参加した60代の女性は「現場の実態を無視して人権を制限すれば、国民をさらに不安にさせる。『緊急事態宣言』はやめて、着実に検査や医療の体制整備を進めてほしい」と話していました。

また60代の男性は「こうした集会にも規制がかかるようになれば、同調圧力も加わって、自由にものが言いにくくなるのではないか」と話していました。