校庭開放 居場所支援 小学校預かり…臨時休校 各地で取り組み

校庭開放 居場所支援 小学校預かり…臨時休校 各地で取り組み
新型コロナウイルスの感染の拡大を防ごうと、多くの学校で臨時休校が始まって9日で1週間。子どもたちに運動不足を解消してもらおうと校庭の利用を認めたり、子どもたちの居場所の確保で支援したりする動きや、共働きなどで保護者が不在となる家庭の児童を小学校で預かるなど、各地で取り組みが行われています。

小中学校の校庭を開放 東京 三鷹

東京 三鷹市では臨時休校が始まって1週間になる9日から小学校と中学校の校庭が午前中から開放されることになりました。

南浦小学校では曇り空の中、学童保育に通っていない低学年を中心に朝からおよそ80人が学校に集まりました。子どもたちは受け付けで手のアルコール消毒を済ませると遊具や縄跳びを使って遊んだり、友達とボール遊びをしたりして元気に校庭を駆け回っていました。

三鷹市では校庭を開放している間、教職員が見守ることにしていて、この学校でも教員2人が校庭に出て子どものたちの様子を確認していました。

3年生の男子児童は「久しぶりに友達と会えてうれしかった。鬼ごっこをして遊びました。うがいや手洗いをしっかりして新型コロナウイルスに感染しないよう気をつけたい」と話していました。

南浦小学校の藤原和彦校長は「近くには公園もあるが人が集まりすぎて遊べないという声もある。子どもたちには外でしっかり遊んで生活にリズムをつけてほしい」と話していました。

マンション共有スペースを無料開放 東京 西東京

東京 西東京市では民間の事業者がマンションの共有スペースを借り受けて、子どもたちのために無料で開放しています。

9日朝も低学年の児童が次々と訪れ、折り紙を折ったり、ボール遊びをしたりしていました。

この事業者は4月からここで学童保育を始める予定でしたが、突然の休校で居場所がない子どもたちのために、急きょ、前倒して開所したということです。

小学1年の女子児童は「友達に会えなくて寂しいけど、ここで楽しく遊びたい」と話していました。

また保育園で働いているという女性は「自分はパート職員なので、頼るところが少なく不安もある中で、子どもたちを見てくれる場所があるのはありがたいです」と話していました。

全国学童保育連絡協議会によりますと、学童保育の施設は全国に2万か所以上あるということですが、今回の臨時休校中も多くが開所して子どもたちを受け入れているということです。

民間学童施設「common」の空田真之代表は「社会全体に、不安な空気が漂う中で、子どもたちにとって精神的に安心できる場所になればと思っています」と話していました。

児童を小学校で一時預かり 北海道 石狩

北海道の石狩市は9日から共働きなどで保護者が不在となる家庭の児童を市内の各学区の小学校で一時的に預かる取り組みを始めました。

このうち緑苑台小学校では9日朝、出勤前の保護者に連れられて登校する児童の姿がみられました。

1年生の男子児童を預けに来た30代の母親は「2週間仕事を休んでずっと子どもと一緒にいました。やっと仕事に出られます」と話していました。

教室では新型コロナウイルスに感染しないよう、児童たちが間隔をおよそ1メートル空けた座席に座り、先生と話したり、自主学習したりしていました。

1年生の男子児童は「学校に来たのは久しぶりなので、友達に会えてうれしかったです」と話していました。

石狩市では休校が続く今月24日までの間、平日午前8時15分から午後2時まで児童を預かることにしています。

児童ら学校で受け入れ 東京 港区

東京 港区は、親が共働きの児童らを日中、学校で受け入れる取り組みを9日から始めました。

このうち御成門小学校では午後1時の時点で8人の児童が訪れ、この事業に関わっている民間企業の担当者が見守る中、図書室で本を読んだり、会議室でアニメのDVDを見たりして過ごしました。

児童の受け入れは今月いっぱい、区立のすべての小学校18校で平日の午前8時半から午後5時まで行っています。

事前の登録が必要で、37度5分以上の発熱がある場合は利用できません。

区によりますと、親が共働きで学童保育に登録していなかったり、放課後の保育サービスがない私立の小学校に通っていたりする児童の居場所がないという意見が寄せられていたということで、今回の受け入れを利用したいという事前の登録はすでに500人分に上るということです。

港区の野上宏子ども家庭課長は「子どもが学校にいるとはっきり分かることが親の安心につながる。新型コロナウイルスから子どもたちを守りながら、居場所を作る対策を進めていきたい」と話しています。

人数をかぎった「分散登校」 北海道 更別村

北海道教育委員会は子どもたちのケアを行うため、休校中に人数をかぎって登校する「分散登校」の実施を求めています。

十勝の更別村の更別小学校は9日から「分散登校」を始めました。9日登校したのは1年生と3年生、それに5年生の合わせて63人です。

感染防止のため児童は消毒をして体温を測ってから校舎に入り、教室では席の間隔をいつもより広く、前後左右2メートル以上あけていました。

授業は行わず、ホームルームの時間に先生が子どもたちの健康状態や学習の状況を確認したり、感染症の予防方法を説明したりしました。

3年生の女子児童は「休みの人もいたけどほとんどの人に会えました。みんな体調が悪くなくてよかったです」と話していました。

3年生の担任の岩崎由希さんは「子どもたちの元気な姿を見てほっとしました。体調は大丈夫ですが、感染のおそれが心配で休んでいる子どももいます。休みは続きますが元気に過ごしてほしいです」と話していました。

ネット上でホームルーム

オンラインで研修などを行う名古屋市の会社は今月2日から毎朝午前9時から15分間、インターネット上でホームルームを開いています。

休校となった子どもたちは誰でも無料で参加でき、9日朝は小学生を中心に全国からおよそ30人が画面上に集まりました。

このうち名古屋市緑区からは小学5年生の伊藤一真さんと、3年生の柚季さんのきょうだいが参加しました。

司会者が「きょうをどんな1日にしたいですか」や「色に例えると何色ですか」と尋ねると、2人は手を挙げて「青色です。天気が晴れなので、外で遊びたいからです」などと答えていました。

柚季さんは「学校がなくなっても家族以外の人と話すことができるのでうれしいです」と話していました。

母親の千春さんは「いろんな場所に住む幅広い学年の子どもたちと交流ができたりして、子どもたちにとってよい刺激になっています」と話していました。

ホームルームを企画した「ひふみコーチ株式会社」の秋田稲美社長は「突然友達と会えなくなってさみしい思いをしている子どもたちに、全国の子どもたちとつながれるという体験をしてもらえたらうれしい」と話していました。