“髄膜炎の原因が新型ウイルスの可能性”20代男性が重症 山梨

“髄膜炎の原因が新型ウイルスの可能性”20代男性が重症 山梨
山梨県は、県内に住む20代の会社員男性が、新型コロナウイルスに感染したことが、新たに確認されたと発表しました。男性は県内の医療機関に入院していて重症だということです。
山梨県の長崎知事は7日夜、会見を開き、南アルプス市と昭和町を主な生活圏にする20代の会社員男性が、新型コロナウイルスに感染したことを明らかにしました。

県によりますと、男性は先月27日に38度5分の発熱があったため、翌日と今月2日にそれぞれ別の医療機関を受診しましたが、その際は新型コロナウイルスの検査は行われなかったということです。

男性は、先月29日から仕事を休んでいて、連絡が取れないことを不審に思った会社の同僚からの連絡で、6日に家族と警察が男性の自宅を訪ねたところ、部屋の中で男性が倒れているのを見つけたということです。

男性はその後、中央市の山梨大学医学部附属病院に搬送され、県のウイルス検査では陰性でしたが、病院の2度の検査ではいずれも陽性が確認されたということです。

男性は意識障害があり重症で、集中治療室で治療を受けているということです。

今のところ感染経路はわかっていませんが、海外への渡航歴はなく、持病は確認されていないということです。

長崎知事は「男性が会話が困難なため、行動履歴を聞くことができておらず、南アルプス市と昭和町を主な生活圏としていると発表した。このエリアに住む人で体調に不安がある場合は保健所に相談してほしい」と呼びかけています。

髄膜炎の原因が新型ウイルスか

新型コロナウイルスの感染が確認された20代の男性の症状について、入院先の山梨大学医学部付属病院は男性が髄膜炎を発症していることを明らかにしたうえで、「髄膜炎の原因が新型コロナウイルスである可能性が極めて高い」と説明しています。

山梨大学医学部付属病院は7日夜、会見を行い、島田眞路学長は、男性の症状について発熱や肺炎だけでなく髄膜炎を発症し、意識障害があることを明らかにしました。

このため、病院で髄液を検査したところ新型コロナウイルスの陽性反応が出たとして、島田学長は「髄膜炎の原因が新型コロナウイルスである可能性が極めて高いと考えている。新型コロナウイルスで髄膜炎を発症することは極めてまれで大変重要な症例だ」と説明しました。

髄膜炎とは

髄膜炎は、脳などを覆う膜に、血液の中のウイルスなどが入り込んで炎症を起こす病気です。

発熱や頭痛、それに、おう吐などの症状がみられ、進行して脳にウイルスが入り込むと、けいれんや意識障害を引き起こします。

一般的に子どもがかかることが多い病気で、ほとんどの場合、点滴で脱水症状を防ぐなどといった対症療法で回復します。

しかし、原因となるウイルスによっては、乳児がかかると、精神発達の遅れなどの後遺症が出ることも報告されています。

専門家「発症は極めてまれ」

新型コロナウイルスの感染が確認された20代の男性が髄膜炎を発症したことが明らかになったことについて、感染症に詳しい愛知医科大学の森島恒雄客員教授は「従来のコロナウイルスでもごくまれに髄膜炎を引き起こすので、新型コロナウイルスにも同様のおそれがある。しかし、新型コロナウイルスが髄膜炎を引き起こすとしても、世界の症例報告を考えれば極めてまれなことだとみられる」と話しています。