治療に当たった医師「重篤のあと回復した人も」 新型ウイルス

治療に当たった医師「重篤のあと回復した人も」 新型ウイルス
新型コロナウイルスに感染して重症の肺炎になった患者の治療に当たった医師がNHKの取材に応じ、患者の中には、人工心肺装置を使うほど重篤になったあとで回復した人がいたことを明らかにしました。また、今後の治療について、ぜんそくの治療薬など、効果が期待される薬の投与も行うとしています。
新型コロナウイルスに感染した人の治療の中核を担っている国立国際医療研究センターでは、これまでに中国・武漢からチャーター機で帰国した人や、クルーズ船の乗客など15人の治療に当たっていて、センターの忽那賢志医師はNHKのインタビューに応じました。

忽那医師によりますと、最も重い症状になったのは高齢の男性患者で、かぜのような症状が1週間ほど続いたあと、強いせきや大量のたんが出るなど重症の肺炎になったため、海外から報告があるエイズの発症を抑える薬を投与したということです。

しかし、症状が悪化したため、血液中に直接酸素を送り込んで肺の機能を一時的に代行する「ECMO」と呼ばれる人工心肺装置も使った治療を行ったということです。

その後、徐々に肺炎が回復し、ECMOを始めた2週間後には装置の必要がなくなり、会話や食事が可能になるまで回復したということです。

忽那医師は、「ECMOで肺への負担を減らせたことが、効果的だったのではないか。ただ、ECMOの台数や使える医療スタッフは限りがあるので、必要な患者に使えるようにすることが重要だ」と話しています。

また、今後の治療について忽那医師は、使用後に症状が改善したという報告があった吸引するタイプのぜんそくの治療薬、「シクレソニド」を試験的に使う可能性を示したうえで「もし有効だと分かったら、手軽さや副作用の少なさから、よい選択肢になる可能性はある」と期待を示しました。

さらに、エボラ出血熱の治療薬として開発が進められた抗ウイルス薬、「レムデシビル」を投与する臨床研究を、早ければ今月中にも始めることや、回復した患者の血液中の抗体を投与する治療法が使えないか検討を進めていることを明らかにしました。