死傷事故起こした87歳に無罪判決 薬で血圧低下が事故原因

死傷事故起こした87歳に無罪判決 薬で血圧低下が事故原因
前橋市でおととし、自転車の高校生2人が車にはねられ死傷した事故で過失運転致死傷の罪に問われた87歳の男性に対し、前橋地方裁判所は「薬の副作用で血圧が下がったことが事故の原因の可能性が高く、予見できなかった」などとして無罪を言い渡しました。
無罪判決を受けたのは前橋市の川端清勝さん(87)です。

おととし1月、前橋市内で乗用車を運転中に自転車で登校途中の女子高生2人をはね、このうち太田さくらさん(当時16)を死亡させたほか、もう1人にも大けがをさせたとして過失運転致死傷の罪に問われました。

これまでの裁判で検察が「家族から運転しないよう注意されていて、事故の発生を予見できるだけの能力を備えていたと認められる」などとして、禁錮4年6か月を求刑したのに対し、被告の弁護士は「低血圧による意識障害が生じるおそれを認識しておらず、事故の発生を予見できなかった」などと無罪を主張していました。

5日の判決で前橋地方裁判所の國井恒志裁判長は「薬の副作用で血圧が下がったことが事故の原因の可能性が高い。被告は医学的な知識を持ち合わせておらず、事故の発生を予見できなかった」として無罪を言い渡しました。

両親「納得できる判決ではない」

事故で亡くなった太田さくらさんの両親は「無罪ということばを聞いて頭の中が真っ白になりました。大切な娘の命を奪ったのに何の罪にも問われないことに大変驚き、落胆しています。理不尽にも未来を奪われた娘の無念を思うととても納得できる判決ではありません。今回のような悲惨な事故が二度と起きないようにするためにも、運転すべきでない状態の人が運転を思いとどまるきっかけとなるような判決を期待していたので大変残念です」というコメントを出しました。

前橋地方検察庁の上本哲司次席検事は「判決内容を詳細に検討し上級庁と協議の上、適切に対応したい」というコメントを出しました。

被告の弁護士「難しい判断に敬意」

判決のあと渡邉雅博弁護士は「裁判所が難しい判断をしたことに敬意を表したい。主たる原因は血圧の低下だったが、高齢者の方はさまざまな体調不良を抱えていてどのようなことが事故につながるかわからない。無罪判決となったが、同じような悲劇を繰り返さないために今後どういうことができるのか考えてほしい」と話していました。