「緊急事態宣言」可能にする法改正 13日にも成立の見通し

「緊急事態宣言」可能にする法改正 13日にも成立の見通し
新型コロナウイルスのさらなる感染拡大に備え、「緊急事態宣言」を可能にする法案について、自民党と立憲民主党は、来週12日に衆議院通過を図ることで合意し、翌13日にも成立する見通しとなりました。
安倍総理大臣は4日夜、野党5党の党首らと個別に会談し、新型コロナウイルスのさらなる感染拡大に備え、総理大臣が「緊急事態宣言」を行い、自治体による外出の自粛や学校の休校などの要請や指示を可能にする法改正に協力を呼びかけました。

これを受けて、自民党の森山国会対策委員長は国会内で立憲民主党の安住国会対策委員長と会談し、政府が来週10日に改正案を国会に提出すると伝えました。

そのうえで、「できるだけ早く成立させたい」と理解を求めました。

これに対し、安住氏は、審議は妨げない考えを示し、11日に衆議院の内閣委員会で審議したあと、12日に本会議で採決して衆議院通過を図り、参議院に送ることで合意しました。

このあと、両党の参議院国会対策委員長も会談し、自民党は、参議院では12日に委員会で審議し、13日に本会議で採決したいと提案しました。

立憲民主党も「日程で争うことはない」としていることから、改正案は13日にも成立する見通しとなりました。

また改正案の適用期間について、自民党は野党側の意見を踏まえ、当初検討していた2月1日からでなく、施行日から最長で2年間とすることなども伝えました。

官房長官「適用期間は検討中」

菅官房長官は午後の記者会見で、法案の適用期間について、「現行の法律でも各種の措置は『緊急事態宣言』が出されたあとに適用されると規定されているので、こうしたことを踏まえて現在検討している」と述べました。

自民 法案を了承

自民党は会合で、新型コロナウイルスのさらなる感染拡大に備え、「緊急事態宣言」を可能にする法案を了承しました。

また経済対策についても議論が行われ、岸田政務調査会長は中小企業や小規模事業者の資金繰りの支援策をめぐって、無担保での貸し付けや、リーマンショックの際を超える金利の引き下げなどを政府に求める考えを示しました。

自民 森山国対委員長「最悪の場合考え法改正必要」

自民党の森山国会対策委員長は、記者団に対し「感染が広がらないよう努力し、強権を発動することがないようにやるが、最悪の場合を考え、対応するために法改正が必要だ。できるだけ早く成立させるということは、互いに一致していると思う」と述べました。

公明 山口代表「スピード感持って早期成立を」

公明党の山口代表は党の中央幹事会で「野党の意見も踏まえ、政府・与党として今月10日ごろまでに改正案を確定し、スピード感を持って早期成立に結び付けていきたい。この1、2週間がヤマ場だという政府の認識も踏まえながら、与党として責任を果たしていきたい」と述べました。

また公明党の北側副代表は、記者会見で「緊急事態宣言が出された場合、国民の権利や自由が一定程度制約されることになるので、慎重な判断が求められる。現行の法律でも国会への報告は必要なので、決める前に、与党は当然だが野党に説明することも必要だ」と述べました。

立民 安住国対委員長「十分、質疑してから採決を」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「総理大臣によって『緊急事態宣言』が出されれば、私権が制限されることになる。行政側に権限を与えるだけに、国会の関与は強めたいと思っているので、十分、質疑をしてから採決したい。また、法案の修正や付帯決議なども各党で協議する」と述べました。

共産 志位委員長「法案提出の断念求める」

共産党の志位委員長は、記者会見で「政府は新型インフルエンザ対策の特別措置法は、新型コロナウイルスには適用できないので立法が必要だと言ってきたが、実際には適用していた事実があった。言い分が成り立たない以上、法案提出の断念を求める」と述べました。

そのうえで「『緊急事態宣言』が行われると私権が制限されるなど、さまざまな疑念や問題が出るため、しっかりたださないと賛同できない」と述べ、法案に賛成するのは難しいという認識を示しました。

社民 吉田幹事長「現行法で対応できる」

社民党の吉田幹事長は記者会見で「法改正をしなくても、現行の新型インフル等対策特別措置法で対応できる。賛否は、会派をともにするほかの党の動向などを踏まえて判断し、来週9日までに決めたい」と述べました。