感染拡大で原油値下がり 産油国が5日から減産を協議

感染拡大で原油値下がり 産油国が5日から減産を協議
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で原油価格が急激に値下がりし低迷する中、サウジアラビアなど主な産油国は5日から会合を開いて対応を協議することにしており、原油価格を下支えするため、減産の規模をどこまで拡大するかが焦点になっています。
新型コロナウイルスの感染拡大によって中国を中心に経済活動が停滞し、原油の需要の落ち込みが見込まれることから、国際的な原油価格はことしに入って20%以上、値下がりしています。

歳入や国の経済を原油に依存する産油国はこうした状況に危機感を募らせていて、サウジアラビアを中心とするOPEC=石油輸出国機構の加盟国とロシアなど非加盟の国々が5日からOPECの本部があるオーストリアのウィーンで対応を協議します。

これを前に4日、主な産油国の代表がOPECの本部で事前の調整を行いました。これらの産油国は3年前から、原油価格を高値で維持しようと協調して生産量を絞っています。

現在は世界全体の需要の1.7%に当たる、1日当たり170万バレルの減産を目標にしていますが、このところの急激な値下がりを受け減産の規模をどこまで拡大するかが焦点になっています。

ただ新型コロナウイルスの感染が中国以外のアジアやヨーロッパなどにも広がる中、原油の需要が今後どこまで落ち込むのか、はっきりと見通せない状況です。

このため、さらなる減産を決めても価格が下げ止まるかどうか不透明で、産油国は難しい判断を迫られることになります。

各国代表団も最小限に 報道関係者も入れず

産油国の会合は、これまでオーストリアのウィーンにあるOPECの本部で定期的に開かれ、世界各国から報道関係者が集まって議論の様子を撮影し、各国の出席者へのインタビューや記者会見の取材を行ってきました。

しかしOPECの事務局は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今回の会合では報道関係者に対し本部の建物への立ち入りを認めないことを決めました。

これについて事務局は「多くの人がひとつの場所に集まることによる、感染のリスクを避けるためだ」としています。また会合に出席する各国に対しても代表団の規模を最小限に絞るよう求めたということです。

会合の様子などの映像は、インターネット上で配信するということで、異例の形での開催となります。

感染拡大で原油価格は下落続く

国際的な原油価格は新型コロナウイルスの感染拡大による影響で値下がりが続いてきました。

ロンドンの市場で取り引きされている北海産の原油の先物価格は、ことし初めの時点では1バレル=66ドル台で、アメリカによるイランの司令官殺害で中東情勢の緊張が高まると、値上がりしました。

しかし、中国で新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になるにつれ、原油価格は値下がりに転じました。中国は世界最大の原油の輸入国で、中国での経済活動の停滞によって原油の需要の落ち込みが見込まれるためです。

さらに中国以外の国や地域にも感染が広がったことで、需要の落ち込みへの懸念が強まり、先月末には50ドル周辺まで値を下げ、ことしの初めから20%以上の下落となりました。特に先週は、1週間で一気に13.6%も下落しました。

また、ニューヨーク市場のWTIの先物価格もことし初めの1バレル=61ドル台から一時、43ドル台まで値下がりし、急激な下落となっていました。