米FRB 緊急利下げを決定 ウイルス感染拡大で

米FRB 緊急利下げを決定 ウイルス感染拡大で
新型コロナウイルスの感染拡大への懸念から株価の急落などが続く中、アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は3日、緊急の追加利下げに踏み切りました。G7=主要7か国で打ち出した協調姿勢を受けた形ですが、金融市場の動揺を食い止められるかどうかは、なお不透明です。
FRBは3日午前(日本時間3日夜)、臨時の会合を開き、追加の利下げを全会一致で決めました。

利下げ幅は0.5%と通常よりも大きく、政策金利を1%から1.25%の範囲にしました。

FRBが、臨時の会合を開いて利下げを決めるのは、いわゆるリーマンショック直後の2008年10月以来、約11年半ぶりのことです。

感染が拡大する新型コロナウイルスの世界経済への影響を懸念し、ニューヨーク市場での株価の記録的な値下がりなど、世界の金融市場の動揺が続く中、日本時間3日夜、G7=主要7か国の財務相・中央銀行総裁が電話会議を開き、景気への影響を抑えるため協調姿勢を打ち出しました。

アメリカの緊急利下げはこうした動きを受けたものですが、今月17日から予定されている定例の会合を待たずに、異例の対応を迫られた形です。

ただ、利下げ後の株式市場の値動きは依然不安定で、金融市場の動揺を食い止められるかどうかはなお不透明です。

パウエル議長「金利引き下げは感染減らさない」

緊急利下げの直後に記者会見したFRBのパウエル議長は「ここ数週間で変化したのは新型コロナウイルスの感染が、より広範囲にわたっていることやアメリカでも少しずつ広がり始めたことだ。経済の先行きにリスクがあると判断し、行動することにした」と述べました。

そのうえで、パウエル議長は「新型コロナウイルスの感染の拡大は、観光や旅行、グローバルのサプライチェーンに依存する産業から懸念が出始めていて、影響は極めて不確実だ。状況が改善するのにどれくらいの時間がかかるかは誰も分からない。金利の引き下げが感染を減らすわけではない」と述べ、先行きは不透明だという認識を強調しました。

米大統領 さらなる利下げ要求

アメリカのトランプ大統領は3日、演説の中で触れ、「FRBがやっと利下げをした。他の国の金利はもっと低く、負けないようにするべきだ。とても簡単な話だ。FRBの金利は高すぎる」として、FRBの措置は不十分だという認識を示し、さらなる金融緩和を要求しました。