高まるマスク需要 出荷量が通常の5倍のメーカーも

高まるマスク需要 出荷量が通常の5倍のメーカーも
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マスクの需要が高まる中、生活用品メーカーは通常時よりもマスクの出荷量を5倍に増やして対応しています。
生活用品メーカーのアイリスオーヤマは、中国の大連市と蘇州市にある自社工場で生産したマスクを日本に輸入し、ドラッグストアなどに出荷しています。

新型コロナウイルスの感染拡大によるマスクの需要の増加に対応するため、現地の工場を24時間体制で稼働させているということです。

埼玉県深谷市にある物流拠点では、中国から届いた1箱40枚入りのマスクが、首都圏に出荷されるトラックの荷台いっぱいに積み込まれていきました。

このメーカーでは、通常に比べて5倍の量を出荷していますが、連日それを上回る注文が入って来ているため、すべての注文には対応しきれない状況だということです。

アイリスオーヤマ広報室サブリーダーの岡村響介さんは「メーカーとしても24時間体制で生産をしているが、それ以上に需要が高まっている状況だ。マスクを必要とされる方にいち早くお届けできるように生産や供給の体制を整える努力をしていきたい」と話していました。

店頭ではマスクの品薄状態 続く

一方、ドラッグストアなどでは依然としてマスクの品薄状態が続いています。

このうち東京 中央区にあるドラッグストアの店舗では、多くを注文してもマスクが入荷するのは週に1、2回で、数枚入りのセットがわずかに入る程度で売り場に並べるとすぐに売り切れてしまうということです。

こうした状況は先月の上旬から続いているということです。

3日はマスクの入荷がなく店の入り口にもその旨を伝える掲示が出されていましたが、マスクを求めて売り場を確認する客の姿があとを絶ちませんでした。

買い物に訪れた地元の主婦は「自宅で備蓄しているマスクが当初の半分くらいに減っています。どうして売り場にいつまでもマスクがないのだろうと感じています」と話していました。

現在の需要は例年の数倍か

マスクの品薄が続いているのは、国内生産や輸入による供給量に対して、需要がはるかに上回っていることが原因です。

経済産業省によりますと、国内のマスクメーカーは24時間体制で増産していて、1週間に通常の3倍に当たる1億枚を生産しています。

これに中国などからの輸入を合わせると現時点の供給量は、1週間で1億1000万枚余り、月間で4億5000万枚程度になります。

一方、この時期は花粉症などでマスクの販売が最も多く、例年だと需要は1週間におよそ1億枚程度とされていますが、新型コロナウイルスの影響でマスクを使う人が大幅に増え、現在の需要はその数倍に膨れあがっていると見られます。

また転売目的でマスクを買い占める動きがあることも、品薄感を強めていると指摘されています。

マスクは医療機関や介護施設などから優先的に出荷され、スーパーやドラッグストアなどに納品されても1店舗当たりの数は限られ、すぐに売り切れてしまう状況になっています。

政府はマスクの供給量を増やすため、国内で生産設備を増強するメーカー3社に補助金を出すことを決めたほか、異業種の企業にも生産に乗り出すよう要請しています。

また一時滞っていた中国からの輸入も拡大していく見込みです。

政府としては今月中にはマスクの供給量を月間6億枚まで上積みする計画で、品薄状態の解消を目指しています。