住宅設備メーカー 受注停止など相次ぐ 中国から部品調達困難に

住宅設備メーカー 受注停止など相次ぐ 中国から部品調達困難に
新型コロナウイルスの感染拡大で、住宅業界にも大きな影響が出ています。トイレやキッチンなどを生産する住宅設備メーカーでは、中国から部品の調達が難しくなっていることから商品の受注停止や納期の遅れが相次いでいます。
トイレやキッチン、それにユニットバスなどを生産する住宅設備メーカーは、主に中国から部品を輸入して国内の工場で生産を行っていますが、国土交通省によりますと、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、中国から部品の調達ができず、受注の停止や納期の遅れが相次いでいるということです。

NHKがTOTOやLIXILなど、住宅設備メーカー10社に取材したところ2日の時点で、ほとんどの会社で受注の停止や納期の遅れが出ているということです。

このうちTOTOは温水洗浄付きのトイレについて、先月中旬から受注を停止していて、すでに在庫がある分の注文しか対応できないということです。

またLIXILは、温水洗浄付きのトイレやシステムキッチンについて、一部の受注を停止しているほか、ユニットバスについては注文は受け付けているものの、納期は未定だということです。

クリナップでは、システムキッチンの食器洗い乾燥機やIH調理器などについて納期に遅れが出ているほか、新規に受注する場合には納期が未定になっていると説明しているということです。

このほかのメーカーでも影響が相次いでいて、中には今後、部品の納期が遅れるおそれがあるため、中国以外の国で部品を生産し、供給できるよう検討を始めているところもでているということです。

住宅ローンの控除にも影響

トイレやキッチンなどの住宅設備機器が届かない影響で、すでにリフォーム工事などを契約している人たちからは「工事が遅れると住宅ローンの控除を受けられなくなる」などの不安の声もあがっています。

横浜市のリフォーム会社では、トイレやシステムキッチン、それにユニットバスなどの住宅設備機器について、先月末時点で、契約している12社から受注停止や納期の遅延についての連絡が来ているということです。

このため会社では、リフォームの契約をしている顧客に対して、設備の納期が見えないことから、リフォーム工事の着工や引き渡しができる時期が遅れる可能性が高くなっていることを丁寧に説明していますが、顧客からは多くの不安の声が寄せられているということです。

このうち、中古マンションを購入し部屋全体のリフォームの仮契約をしている横浜市の金子貴臣さんは、当初5月中旬に予定していた引き渡しの時期が6月中旬まで後ろにずれ込む可能性が高くなっていると、担当者から説明を受けました。

金子さんは、住宅ローンの控除を受けようと考えていますが、そのためには住宅を購入してから6か月以内にあたる、ことし5月末までに入居することが条件となっているということです。

金子さんはリフォーム会社に「ローンの控除が受けられないと困るので、なんとか5月末までに引き渡してもらうことはできないか」と相談したところ、担当者からは「現時点では全く見通しがたたずなんとも言えない」と回答があったということです。

金子さんは「新型コロナウイルスの影響が、こんなところにまであるなんて全く想像していなかった。住宅ローン控除についても、国が柔軟に対応してくれたらうれしい」と話していました。

アリキリリフォーム株式会社の常田豊社長は「とくに先月末から受注停止の商品が増えていて、日に日に深刻な状況になっていると感じている。お客様に対して、いつ工事ができるのかを示せないと契約してもらうのは、なかなか難しいので、会社としても売り上げが心配だ」と話していました。