参院予算委 新型ウイルス感染拡大 政府対応めぐり論戦

新年度予算案の審議が始まった参議院予算委員会では、午後も新型コロナウイルスの感染拡大を受けた政府の対応などをめぐって論戦が行われました。
立憲民主党の蓮舫参議院幹事長は、すべての乗客乗員が下船したクルーズ船への対応について「政府の対応は先手先手ではなかったという認識はあるか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「今までに経験のない事態だったが、中国からの帰国を支援したチャーター便での知見や、船内での感染拡大防止が有効に行えていたという専門家の指摘も踏まえて下船の判断をしたもので適切だったと考えている。新型コロナウイルスは未知の部分が多く、もちろん完璧ではないが、知見を生かし最大限の対応をしてきたと考えている」と述べました。

また、加藤厚生労働大臣は、1日午後11時の時点で下船した人のうち、42人が発熱などの症状を訴えていることを明らかにしました。

国民民主党の足立信也氏は「『新型インフルエンザ等対策特別措置法』を適用していれば、緊急事態にでき、外出の自粛、休校、公費負担などが法律上可能になるのに、なぜ適用しなかったのか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「新型コロナウイルス感染症は、原因となる病原体が特定されていることから、緊急事態宣言も含めて『特別措置法』に基づく対応は困難だ。やるべきことは『特措法』にほぼ書き込んであり、新型コロナウイルス感染症を対象とすることが可能になるよう修正することが望ましい」と述べ、野党側にも協力を求めました。

また、加藤大臣は「医療機関の待合室は感染のリスクが高いと指摘されているので、できるだけ行かなくて済むよう電話による再診やオンラインの診療や調剤を活用できるようにして積極的な活用を呼びかけていきたい」と述べました。

国民民主党の浜口誠氏は大規模なイベントの自粛などに関連して、「民間事業者の方にチケットの払い戻しなどの実損が出ている。政府として何もしないというのはいかがか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「政府として個別の損害をそのまま補償することはできないが、中小・小規模事業者の声を直接聞く仕組みを作り、強力な資金繰り支援をはじめ、地域経済に与える影響に配慮してしっかり対策を講じていく」と述べ、来週10日をめどに第2弾の緊急対応策を取りまとめる考えを重ねて示しました。

また、感染拡大の影響で、業績が悪化した企業に支給する「雇用調整助成金」について、加藤大臣は「リーマンショックの時は、助成率は中小企業が5分の4、大企業が3分の2だったが、こうした事例を踏まえてしっかり検討したい。雇用保険に入っていない被用者の方々も対象としながら制度をつくりたい」と述べました。

参議院予算委員会では、3日も安倍総理大臣とすべての閣僚が出席して、質疑が行われます。