トイレットペーパー 誤情報でも購入 “予言の自己成就”現象?

トイレットペーパー 誤情報でも購入 “予言の自己成就”現象?
「トイレットペーパーが今後、品切れになる」など、誤った情報だとわかっていても不安に駆られ購入してしまう状況について、社会心理学が専門の慶應義塾大学の吉川肇子教授は“予言の自己成就”という現象の一種だと考えられると分析しています。
SNSで「マスクとトイレットペーパーが同じ原料で作られていて品切れになる」などの誤った情報をきっかけに、トイレットペーパーの買いだめが相次ぎ、業界団体や政府が「品切れになることはない」として、消費者に冷静な行動を呼びかける異常な事態となっています。

こうした状況について、吉川教授は「『トイレットペーパーが今後、品切れになる』という誤ったうわさを受け取った人が、実際に店に買い物に行ってどんどんトイレットペーパーが売れていく状況を見て、不安に駆られ購入しているとみられる」と分析しています。

そのうえで吉川教授は、こうした状況を社会心理学における“予言の自己成就”という現象の一種だと考えられると説明しています。

“予言の自己成就”は、社会心理学では「根拠のない見立てや考えが新しい行動を呼び起こし、その行動が結果として当初の誤った考えをリアルなものとすること」とされているということです。

さらに、今もマスクの品切れ状態が解消されていないことが「今買わないとマスクと同じように出遅れるのでは」という心理状態になる一因になっているとも分析しています。

対策について吉川教授は、消費者側の対応としてはニュースや公的機関、それにインターネットなどで複数の情報にアクセスしたうえで判断してほしいとしています。

また、業界団体や店側の対応としては「在庫があるなら、山積みにするなど、実際に在庫があることを目で見える形で示したり、『通常より2倍の注文をしました』など、在庫が手に入る状況を具体的に説明したりすることで、不安が解消することもある」と指摘しています。