NY株記録的急落 FRBは今月にも利下げ可能性示唆

NY株記録的急落 FRBは今月にも利下げ可能性示唆
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、ニューヨーク株式市場は先週、リーマンショック以来の記録的な値下がりとなりました。市場の動揺を抑えようと、アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は今月にも利下げに踏み切る可能性を示唆しています。
ニューヨーク株式市場はアメリカでも新型コロナウイルスの感染経路がわからない患者が見つかったことなどから、ダウ平均株価の先週1週間の下落幅は3500ドル余り、率にして12%を超え、2008年のリーマンショック以来の記録的な値下がりとなりました。

金融市場の動揺を抑えようと先週28日、FRBのパウエル議長は緊急の声明を発表し、「景気を下支えするために適切に行動する」として今月にも利下げに踏み切る可能性を示唆しました。

ただアメリカで29日、初めての死者が確認されるなど感染が拡大していて、今週も株価の下落に歯止めがかからなければ、市場では今月17日から始まる金融政策を決める定例の会合を待たずに、緊急で利下げをするべきだという声が高まる可能性もあります。

FRBは景気は拡大が続いているとして、去年12月以降、金利を据え置いてきましたが、世界中から部品を調達している製造業などで株価の下落が目立っていて、世界経済のけん引役だったアメリカ経済への懸念が急速に高まっています。

中国の工場に生産委託の米企業 生産止まり事業直撃

新型コロナウイルスの感染拡大は株価だけではなく、アメリカ国内の企業の活動にも影響を及ぼしています。

東部・マサチューセッツ州、ボストンにある社員およそ30人の音響機器メーカーでは生産コストを削減するため、中国の工場に生産を委託しています。

そのうえでスピーカーなどすべての商品を自社のブランドで、アメリカ国内のほか、ヨーロッパやアジアで販売しています。

しかし新型コロナウイルスの感染の拡大の影響で中国の工場が稼働を停止し、およそ1か月前から商品が生産できない状態です。

会社によりますと、商品の在庫はあと数週間で底をつくということで、今月半ばまでに生産が戻らなければ販売する商品がなくなるといいます。

さらに数日前には新型コロナウイルスの感染者が増え続けているイタリアの販売代理店から、「先行きが見えない」として注文がキャンセルされたほか、販路の拡大のために参加を予定していたヨーロッパでの見本市の開催が取りやめになるなど、生産が再開したとしても事業への影響が懸念されています。

この会社のトム・ディベスト代表は「今の生産量は『ゼロ』だ。この影響がいつまで続くか見通しが立たず壊滅的だ。工場や同業者、顧客と日々連絡を取り合っているが、この状況にどう対処したらよいか分からず日に日に状況は悪くなっている」と話していました。

アメリカの主要な経済メディア、ウォール・ストリート・ジャーナルの調査では、新型コロナウイルスによる企業活動の停止などの影響で、アメリカの1月から3月のGDP=国内総生産が、0.5%未満、押し下げられるとしていて、今後の実体経済への影響が懸念されます。