「トイレットペーパー 在庫は十分」買いだめの動きに工業会

「トイレットペーパー 在庫は十分」買いだめの動きに工業会
トイレットペーパーの買いだめが相次いでいることについて、トイレットペーパーの業界団体では「品切れになることはない」として消費者に冷静な行動を呼びかけています。
トイレットペーパーのメーカー各社で作る日本家庭紙工業会の林廣文会長は、「SNS上には『マスクとトイレットペーパーが同じ原料で作られていて品切れになる』という情報が出ているが、トイレットペーパーとマスクの原料は全く異なり誤った情報だ。また、『日本で売られているもののほとんどが中国製で輸入できず品切れになる』という情報も出ているが、日本の市場に流通しているおよそ97%は国内産でこれも誤った情報だ」と指摘しています。

そのうえで「現在、在庫は十分にあり、生産体制も問題ないので新型コロナウイルスの影響で品切れになる心配は全くない。仮に一時的に店舗からなくなってもすぐに供給されるので、消費者には安心して通常どおりの購入をしてもらいたい」としています。

官房副長官「落ち着いた行動を」

岡田官房副長官は記者会見で「トイレットペーパーやティッシュペーパーも不足しているという情報がSNSなどで広がっているが、産業界からは潤沢にあるという説明がなされている。供給は中国に依存しているわけではなく、現在も通常通りの生産 供給が行われている。消費者の皆様には安心して、落ち着いた行動をお願いするとともに、買い占めや転売などによって必要な方に届かないことがないようにご協力をお願いしたい」と呼びかけました。

業界団体「供給が不足していることはない」

日本チェーンストア協会の井上淳専務理事は「食料品などは一時的に店の棚から商品がなくなっていることはあっても、全体として供給が不足していることはない」としています。

そして井上専務理事は「ふだん1つ2つ買っている商品を、急に10個も20個も買いだめをされると、消費者自身にとっても無駄な買い物になるし、その光景を見ていた隣の人が、これは大変なんだということでまた買いだめをすると、パニック的な行動になり、商品不足を作り出してしまう」と指摘しました。

そのうえで消費者に対しては「冷静にふだん通りの買い物をして頂きたい」と述べ買いだめをせず冷静に対応するよう呼びかけています。

経産省「間違った情報に振り回されず冷静に行動して」

経済産業省は「トイレットペーパーの原材料は中国に依存しておらず、生産は国内で行っている。現状も通常通りの供給が続いている」としています。そのうえで「間違った情報に振り回されず、冷静に行動してほしい」と買いだめをしないよう呼びかけるとともに、製紙業界とも情報を共有して対応することにしています。

「うわさを否定するには」

トイレットペーパーの買いだめが相次いでいることについて、社会心理学が専門の慶應義塾大学の吉川肇子教授は「マスクの買い占めが起こった際に、『2週間ほどで品切れが解消する』と言われたこともあったが、現状でも品切れ状態が解消されていないこともあり、品切れするかもしれないといううわさだけで『今買えるのであれば買っておいた方がいい』と多くの人が判断した結果だ」と分析しています。

そのうえで「在庫があるなら、山積みにするなど、実際に在庫があることを目で見える形で示したり、『通常より2倍の注文をしました』など、在庫が手に入る状況を説明したりすることで、不安が解消するのでは」と話していました。