新型ウイルス 臨時休校 各地の対応は…

新型ウイルス 臨時休校 各地の対応は…
新型コロナウイルスの感染が広がる中、政府は全国すべての小中学校や高校などに来月2日から春休みに入るまで臨時休校とするよう要請しました。各地で対応は分かれています。

島根 出雲 当面休校せずに通常通り授業

出雲市教育委員会は、午前中に会議を開き、市立すべての小中学校について、当面は休校せずに通常通り授業を行うことを決め、分校を含め市内に50ある小中学校に通知しました。

出雲市教育委員会は、島根県内で新型コロナウイルスの感染が確認されていないうえ、休校にした場合、教育面で影響が出たり共働きの保護者などに混乱が生じたりすることが想定されるためだとしています。

ただ、今後、市内で感染者が確認されるなど状況が変われば、臨時休校にする可能性もあるとしています。

出雲市教育委員会の槇野信幸教育長は「今の段階で休校にすることは、混乱の方が大きい。未就学児や小学生などがいて世話が必要になり困る家庭も多いだろうという判断で休校とすることは見送った。市内で感染者が出るようなことがあれば状況を見ながら対応を決めていきたい」と話していました。

沖縄 石垣 通常通り授業

沖縄県石垣市は現在、市内に感染者がいないことなどから休校せず、通常通り授業を行うことを決めました。

記者会見した中山市長によりますと、28日現在、石垣市で感染者がいないこと、離島のため、通勤や通学での流入人口がないことなどを理由に市立の小中学校29校すべてを休校としないと決めたということです。そのうえで、市内で感染が確認された場合などはただちに全校を休校するとしています。

中山市長は「政府の要請に対して反対する訳ではないが石垣市の状況を踏まえ決定した」と話していました。

金沢市 2日は休校せず

金沢市の山野市長は、市内の学校では3月2日からの休校を行わない考えを示しました。記者会見で山野市長は「安倍総理大臣の危機感を金沢市としても共有し、対応しないといけないが、臨時休校は共働き世代や企業などへの影響が大きい」と述べました。

そのうえで、「生徒の感染が確認された中学校の休校は、社会的な責任の観点から説明できるが、今、すべての学校で休校を決断しても市長として責任ある説明ができない」と述べ、来月2日からの休校は行わない考えを示しました。

さらに、3日以降に休校するかどうかなど今後の対応については国や石川県からの通知の内容を踏まえて、検討するとしています。

愛媛県 休校は4日から

愛媛県の中村知事は28日記者会見し、3月4日から休校の措置をとる方針を示しました。

記者会見の中で中村知事は「今回の政府の唐突なやり方には疑問がある。1人親家庭での子どもの居場所の確保や学習の遅れ、各種行事への対応など大きな問題がある。特に特別支援学校では障害がある子を一律に休校にすることは極めて困難だ」と述べました。

そのうえで中村知事は3月2日からの一律の休校ではなく、県立の学校は4日から休校の措置をとる方針を示しました。

また中村知事は政府の今回の対応に関連し、「政府が根拠や方向性をしっかり示すべきだ。場当たり的な対応という印象がある。緊張感を持って対応していただきたい」と述べました。

一方で中村知事は休校中の子どもの居場所について現段階で決めてはいないものの、感染症対策を徹底して学校で子どもたちをあずかる場合もあるという考えを示しました。

岐阜 高山 休校は3日から

岐阜県高山市は対応を検討した結果、28日中に決めることは難しいとして、3月2日は市内に31あるすべての小中学校を登校日として、休校は3日からとすることを決めました。

教育委員会によりますと3月2日は、子どもたちに春休みが終わるまでのスケジュールや休校になっている間も不要な外出を控えるよう生活面の注意事項を説明するということです。

また、小中学校の卒業式は予定どおり行うものの、来賓の招待を自粛したり、式典の時間を短くしたりして感染の予防に努めるということです。

佐賀県 3日から13日まで休校

佐賀県は県立学校について来月3日から13日まで臨時休校とすることを決めました。

市や町の教育委員会や私立学校についても同様の対応をとるよう要請するとしています。佐賀県はきょう緊急の対策会議を開き、この中で学校側が準備を整え混乱を最小限にする必要があるとして政府の要請よりも1日遅らせ、来月3日から13日まで臨時休校とすることを決めました。その上で、共働きの世帯が多いことを踏まえ、この期間も学校を開放し、児童や生徒が学校を利用できるようにするということです。県は、この方針を市や町の教育委員会や私立学校にも伝え、同じ対応を取るよう要請するということです。一方、3月予定されている卒業式や高校入試については、感染対策を十分に行った上で予定通り行うということです。

那覇市 3日から13日まで休校

那覇市は来月3日から13日まで休校にすると公表しました。記者会見で城間市長は「国の対策は突然感が否めず、準備や対策を考える間もなく残念だが、来月16日からは通常通り授業が再開できるよう取り組んでいきたい」と述べ、53の市立小中学校すべてを3月3日から13日まで休校にすると公表しました。

休校の期間は原則、自宅待機としていますが、共働きの家庭などの負担にならないよう、児童クラブが朝から子どもたちを預かるための調整を進めているほか、小学校低学年の児童を中心に地域の児童館などで受け入れることも検討しているということです。

また、県内で新型コロナウイルスの感染確認が今後、増えない限り、来月16日には学校を再開し、修了式が予定されている25日までは通常通り授業を行いたいとしています。

千葉 市原 希望者は原則学校で預かり

千葉県市原市は3週間の休校を決めた一方で、小学校についてはふだん、学童保育を利用していなくても家庭の状況に応じて学年に関わらず学校で預かる方針を決めました。

市原市によりますと市内にある合わせて63の小中学校で来月2日から春休み前日の24日まで臨時休校にすることを決めました。ただ、小学校に通うおよそ1万3000人の児童については普段学童保育を利用している場合、朝から利用できるように調整しているほか、保護者に何らか事情がある場合は学年に関わらず希望者は原則、通っている学校で受け入れることにしています。

その間、児童は自習し、希望者が多い場合には密集して接触しないようふだんの教室以外の場所の使用も検討するということです。

市原市教育委員会は「自宅で待機できる児童については極力お願いして、預かる人数を少なくすることで感染症対策に努めたい。急に休校が決まり対応が難しい家庭は多くあると思うので少しでも支えになりたい」と話しています。

千葉市 小1・2は学校で受け入れ

千葉市は小中学校では3月3日から、高校では3月4日から暫定的におよそ2週間、休校とする一方、特別支援学校3校については休校しないことを決めました。休校をまず2週間とした理由については春休みに入るまでとする要請について科学的な根拠が不明なためとしています。

そのうえで小学校1、2年生などについては保護者が働きに出ているなど事情がある場合、感染予防策をとったうえで学校で受け入れる市独自の対応策を行うことにしました。密集して接触しないようにほかの学年の教室も利用し教諭が見守るなか自習を行う予定です。

また、学童保育に関してはすべての学年について放課後のみ行う予定です。

千葉市の熊谷俊人市長は「感染のリスクを軽減するという趣旨は分かるが国の要請どおり朝から学童保育で受け入れるのは学校より接触の機会が増えちぐはぐな印象だ。幼い子どもが自宅で取り残されることのないよう最低限の保障をすることで社会の混乱を防ぎたい」と話していました。

山口 防府 2日から休校も週末に臨時登校

山口県防府市の教育委員会は市立の小中学校を3月2日から休校とする一方、市独自の判断で29日と3月1日は土日は臨時の登校日とすることを決めました。

理由について防府市教育委員会は「成績評価をどうするかや休校が終わってからの対応など決まっていないことも多い。県内では現時点で感染が確認されていないことを考えると、少しでも準備が進められるようにした」と話しています。

この土日は午前中の3時間目まで授業時間を設定し、それぞれの学校の判断で休校を前に終わらせておきたい授業や卒業式の練習などにあててもらうということです。

防府市教育委員会の江山稔教育長は「きょうを学期の最後にすると準備が間に合わないと判断し、臨時の登校日を決めた。子どもや家庭にとっても急なことなので、できるかぎり不安や負担がないよう市全体で検討していきたい」と話していました。

栃木 矢板 2日から休校も週末に臨時登校

栃木県矢板市は学習の遅れなど影響を少なくするため、市内の小中学校で29日と3月1日に臨時に授業をしたうえで、来月2日から16日までを休校とする独自の対応を決めました。

休校の期間を来月25日からの春休みまで延長するかどうかは、今後、状況をみて判断するとしています。

また、来月7日の中学校の卒業式と19日の小学校の卒業式は規模を縮小して実施するということです。

矢板市の斎藤淳一郎市長は記者会見で「寝耳に水の要請だったが、市は与えられた条件の中で最大限全力を尽くさなければならない。少しでも今回の臨時休校が児童・生徒にとってマイナスにならないようにしたい」と述べました。

宮城県 2日から休校

宮城県の村井知事は原則として県内の公立学校では3月2日から休校の措置とすることを明らかにしました。

その一方で特別支援学校は少人数で感染のリスクは低いとして、感染防止の対策を行いながら3月2日以降も通常どおりの授業を行うとしています。

長野 飯田 休校も2日午前は臨時登校

長野県飯田市の教育委員会は3月2日から市内すべての小中学校を休校にすることを決めました。一方、宿題の準備などが追いつかないため、2日の午前中は臨時登校にして全員を登校させ、休校中の対応について指導を行うということです。

そのうえで、それ以降の期間についても働く保護者への配慮などから、小学校では学童保育などを利用していて、日中、保護者が家にいない家庭の児童に限って学校の始業時間から下校時間まで受け入れるということです。

その際は、感染防止のため登校前と登校したあとの体温測定などを行うとしています。

飯田市教育委員会の代田昭久教育長は「前例のないことで困惑している。対応については困難な部分もあるが新型コロナウイルスの感染が出ているなかで、対応していきたい」と話しています。

埼玉県 2日から休校も学校は開放

埼玉県は3月2日から県立の中学校と高校を臨時休校にすることを決め、各市町村の教育委員会に対しても同様の対応をとるよう求めました。

一方、子どもが自宅で過ごせない場合については、通常開校している時間内で学校施設を開放して受け入れるということです。

県の対策本部会議によりますと、県立の中学校と高校については来週月曜日の3月2日から春休みまでの期間を臨時休校とし各地の小中学校などについても各市町村の教育委員会に対し同様の対応をとるよう求めました。

特別支援学校については、保護者や生徒の負担が大きいとして、当面の間、通常どおり授業を行うということです。

一方で、共働き世帯や仕事を持つ1人親世帯など、子どもが自宅で過ごせない場合については、通常開校している時間内で学校施設を開放して受け入れるということです。

会議の後、大野知事は、感染拡大防止の観点から休校の要請への協力は適切だとした一方で、「要請はあまりにも唐突で、現場を預かる県としては突然行われたことに違和感もある」と述べ不快感を示しました。

このほかさいたま市教育委員会は3月2日から13日までの2週間、市内の特別支援学校を除く、小中学校と高校、そして中等教育学校を臨時休校とする方針を決めました。

東京都 2日から休校

東京都教育委員会は協議の結果、都立の高校と中高一貫教育校、それに特別支援学校で3月2日から春休みが始まるまでの間、臨時で休校する方針を固めました。

このため、学年末のテストは3月2日以降は実施せず、原則として、これまでの学期の評定や直近の学習状況などを総合的に評価して決めることにしています。

ただ、特別支援学校については子どもが自宅で過ごすことが難しい場合は、支援体制が整うまでの間、学校で過ごすことができるよう各学校に求めることにしています。

一方、卒業式は規模を縮小するなどして実施するほか、入試についても感染症対策を実施して予定されている日程で行うことにしています。

都の教育委員会はこうした方針について、28日午後にかけて、各学校に通知することにしています。

また、小中学校を管轄する区市町村の教育委員会に対しても都と同じような対応をとるよう要請することにしていますが、自宅で過ごすことが難しい主に小学校低学年の児童について、日中の居場所を確保するなどの対応を検討するよう求めることにしています。

神奈川 2日から休校

神奈川県では政府の要請を受けて、高校や特別支援学校などの県立の学校について、3月2日から春休みに入るまで臨時休校とすることを決めました。

また、県内の市町村に対し小中学校などにも同様の対応を求めているほか、私立学校にも同じ措置を求めました。また、部活動も自粛だということです。

しかし、生徒や児童、それに保護者への連絡などが必要な場合、来週月曜日の3月2日に短時間の登校をするのは差し支えないとしています。

また、卒業式は保護者や在校生が出席せずに行うなど規模や時間を縮小するよう求めているほか、特別支援学校や小中学校については保護者などへの負担を考えて、学校に児童や生徒の「居場所」を確保する方針です。

今回の措置は県内の90万人余りの児童・生徒に影響が及ぶことになります。黒岩知事は「国の大きな方針転換で唐突だったが非常事態宣言と受け止め、評価したい。休校の間、児童・生徒がどう過ごすか、皆で智恵をしぼらなければならない」と話しています。

横浜 3日から休校 学校で受け入れも

横浜市は、市内の小中学校や高校、特別支援学校など合わせて510校について、保護者への連絡などの対応が間に合わないとして、政府が要請した3月2日ではなく、1日遅い来月3日から13日まで休校にすることを決めました。

また、小学校低学年の児童や個別支援学級、特別支援学校の児童生徒については、仕事の事情によって家庭での子どもの世話が難しい場合には、学校で受け入れるとしています。

来月14日以降も休校を続けるかどうかについては子どもたちの学習などへの影響を考慮したうえで、感染の状況をみながら再度、判断したいとしています。

横浜市の林文子市長は「子どもたちの健康を最優先にした措置だ。まさにいまが正念場で感染の拡大防止のため市民にも協力をお願いしたい」と話していました。