粗鋼生産量 去年の水準をさらに下回る可能性も

粗鋼生産量 去年の水準をさらに下回る可能性も
日本鉄鋼連盟の北野嘉久会長は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、ことしの国内の粗鋼生産量は10年ぶりに1億トンを割り込んだ去年の水準を、さらに下回る可能性があるという見方を示しました。
定例の記者会見で北野会長は、新型コロナウイルスの感染拡大による国内の鉄鋼製品の生産への影響について「いちばんの大口の取引先である日本の自動車メーカーが減産を余儀なくされており、われわれも生産調整を行っている」と述べ、自動車向けの鋼板などの需要の減少に伴って、国内の鉄鋼メーカーも生産調整を始めたことを明らかにしました。

そのうえで、ことし1年の粗鋼生産量の見通しについて「少なからず新型コロナウイルスの影響が出るのは間違いなく、マイナス方向に行く可能性がある」と述べ、いわゆるリーマンショックの時以来、10年ぶりに1億トンの大台を割り込んだ去年の水準を、さらに下回る可能性があるという見方を示しました。

また北野会長は「中国では製造業の生産が落ち込んでいるにもかかわらず、中国の鉄鋼メーカーは増産を続け、在庫が増えている。市況の悪化につながるおそれがありこの傾向を危惧している」と述べ、中国の鉄鋼メーカーの動向を注意深く見守る考えを示しました。