新型コロナウイルス 再び陽性受け原因究明へ合同調査 大阪

新型コロナウイルス 再び陽性受け原因究明へ合同調査 大阪
新型コロナウイルスに感染し、その後、陰性が確認された大阪市の女性が、再び症状が出て陽性になったことを受けて、大阪府の吉村知事は原因を究明するため、国立感染症研究所と合同で調査を始めたことを明らかにしました。
新型コロナウイルスの検査で、再び陽性が確認された大阪市の40代の女性について、大阪府は体内に残っていたウイルスが増殖したか、ウイルスに再感染した可能性があるという見解を示しています。

これについて吉村知事は「再び陽性となったのは全国で初めてのケースで、全国的に共有すべき事例だ。極めて特殊なのか、一般に起こりうる事例なのか、専門家による原因の究明が必要だ」と述べ、国立感染症研究所と合同で調査を始めたことを明らかにしました。

また吉村知事は今後、陰性が確認されて退院する人について「対応としては非常に難しい。今回の大阪の女性のように、20日以上症状がなくても再び陽性になることがあるので症状がおさまっても、できるだけ外出を控え、症状が出たらすみやかに医療機関を受診することを勧めたい」と述べました。

経緯は

再び陽性になった大阪市の40代の女性は、1月中旬、中国 武漢からのツアー客を乗せた観光バスに乗車し、ガイドを務めました。その後、発熱や鼻水などの症状が出て大阪府内の医療機関に入院し、1月29日、検査で新型コロナウイルスへの感染が確認されました。そして症状が改善したことなどから、2月1日に退院しました。

この時点の国の方針では、退院を判断する基準として検査で陰性を確かめることが求められていなかったため、府は検査を行っていませんでした。

そして3日に退院する際には検査を行うよう、国の基準が示されたことを受けて6日に検査を行ったところ、陰性が確認されました。女性は退院後、毎日、マスクをつけて自宅で静養し、13日に受診した際には症状はなかったということです。

ところが19日になって、のどの違和感と胸の痛みを感じ、21日と22日に続けて受診していました。そして25日受診した際にものどの違和感と胸の痛みを訴えたため、26日再検査が行われ、陽性と確認されました。

専門家「まだ情報が少なくよくわからない」

新型コロナウイルスに感染した大阪市の40代の女性がいったん陰性になったあとで再び症状が出て陽性になったことについて、感染症に詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は「経過からみると再び感染したとは考えにくく、症状が治まったあとも体のどこかにウイルスが潜んで感染が持続していて再び症状が現れる『再燃』が起きた可能性がある」と指摘しています。

中山特任教授は人によっては抗体が十分に作られずに、ウイルスを完全に排除できず、なんらかの要因で再び増殖に転じたのではないかとしていますが、どんな人が再び症状が出て陽性になるかについては、まだ情報が少なくよくわからないということです。

一方で、同じコロナウイルスの一種で、2003年に中国やアジア各地を中心に感染が拡大したSARSの場合はウイルスが呼吸器で検出されなくなって以降も、腸などにウイルスが残っていたケースは報告されていますが、その後、再び症状が出ることは考えにくいということです。

中山特任教授は「新型コロナウイルスは、感染を抑える上でSARSよりやっかいだ。陰性になって、通常の生活に戻る際にも、周りに感染させないよう必ずマスクを着用して手洗いを徹底することが必要だ。陰性になったあと、症状が再び出る人がどれくらいいるのか調べるとともに、より細やかな経過観察と検査体制の拡充が求められる」と指摘しています。