イラン 新型ウイルス 死者15人に 記者会見の保健省次官も感染

イラン 新型ウイルス 死者15人に 記者会見の保健省次官も感染
新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されているイランでは、新たに3人の死亡が確認され、死者の数はこれまでに15人に上っています。また24日に国内外のメディアを前に記者会見を開いたイラン保健省の次官自身も感染していたことがわかりました。
イラン保健省は25日、これまでに新型コロナウイルスへの感染が確認されたのは前日より34人増えて95人、このうち死亡した人は3人増え、15人になったと明らかにしました。死者の数は中国を除くと最も多くなっていて、死亡した人の中にはビジネスで中国への渡航歴があるイラン人が含まれているということです。

感染の疑いがある人はイラン全体でおよそ900人に上るということです。

また保健省の報道官は、24日に国内外のメディアを前に記者会見を開いていたハリルチ次官が新型コロナウイルスに感染していたことが確認されたと明らかにしました。この場には大統領府のラビー報道官が同席していたほか、国内外のメディアの記者やカメラマンなど40人がいました。

一方、ウイルスへの感染が多く報告されている中部のコム州はイスラム教シーア派の聖地として知られていますが、国営通信によりますと感染拡大を防ぐため集団礼拝を禁止する措置がとられたということです。

ただ感染者数や死者数をめぐっては情報が錯そうしていて、24日、コム州選出の議員が「コムでは感染して死亡した人が50人はいる」と発言したのに対し、イラン保健省は直後にこの発言内容を否定しました。

ところが25日になってイランの重要政策を決める最高安全保障委員会のシャムハニ事務局長が「議員の発言が真実かどうかを確認し、結果を国民に公表するよう検察当局に求めた」とツイッターに投稿するなど、当局の対応にも混乱がうかがえます。

イランでは多くのスポーツイベントが中止されたほか、サッカーのプロリーグの試合も当面、観客なしで実施されることになっています。

また首都テヘランをはじめ感染者が出ている地域では学校が休校になっているほか、イラン人にとって重要な娯楽施設である映画館が全土で閉鎖されました。

イランと隣接する国々も警戒を強めていて、トルコ、イラク、パキスタンなどがイランとの国境で、人の出入りを制限したほか、周辺国のオマーンやタジキスタンなどもイランとを結ぶ航空便の運航を停止し、感染の拡大を食い止めようとする動きが広がっています。

感染の次官は医師 最前線で対応

感染が確認されたハリルチ次官は会見の途中、何度もティッシュで額の汗をぬぐう姿が確認されていました。

インターネット上には、みずから撮影したとみられる動画が出回り、「24日は熱があった。その後、検査で陽性だったので自分自身で隔離措置をとった。体調は悪くない」と説明しています。

詳しい感染経路などは明らかになっていませんが、イランメディアはハリルチ次官は医師で、最前線でコロナウイルスの対応にあたっていたと伝えています。

一方、ロウハニ大統領は、コロナウイルス対策の会議に出席し、国民に対して、感染拡大を防ぐため、宗教行事を含め、大がかりな集会を行わないよう改めて呼びかけました。

そのうえで、「一部の特別なケースを除いて、週末には、あらゆる状況が通常に戻るだろう」と強調しました。ただ、イランでは、連日、感染者が確認されているほか、25日までに死亡した人は15人に上り、中国を除いて死者が最も多くなっていて、感染を食い止められるかは不透明な状況です。

隣国トルコ 帰国者の特別便運航

イランでの新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、イランの隣国トルコは国境での人の出入りを制限する一方、イランからの帰国を希望するトルコ国民のために特別の航空便を手配しました。

トルコ保健省によりますとこの便は25日、乗客乗員合わせて132人を乗せてイランの首都テヘランからトルコの首都アンカラに到着し、全員が病院に隔離されてウイルス検査を受けています。