株価終値 ことし最大の値下がり幅 コロナウイルス感染拡大懸念

株価終値 ことし最大の値下がり幅 コロナウイルス感染拡大懸念
25日の東京株式市場は全面安の展開となり、日経平均株価の値下がり幅は一時1000円を超え、終値もことし最大の値下がり幅になりました。新型コロナウイルスの感染拡大がアジアにとどまらず、世界経済に深刻な影響を与えるのではないかという懸念が広がったためです。
25日の東京株式市場は、24日の海外市場で軒並み株価が下落したのに続き、取り引き開始直後から全面安の展開となり、日経平均株価は一時先週末の終値より1051円値下がりしました。日経平均株価が1000円を超えて値下がりするのは1年2か月ぶりです。

その後は値下がりした銘柄を買い戻す動きも出ましたが、日経平均株価の終値は先週末より781円33銭安い、2万2605円41銭となり、ことし最大の値下がり幅になりました。

東証株価指数=トピックスは、55.74下がって、1618.26。
1日の出来高は17億7802万株でした。

株価が大きく値下がりしたのは、韓国やイタリアで感染者が増えるなど、新型コロナウイルスの感染拡大がアジアにとどまらず、世界経済全体に深刻な影響を与えるのではないかという懸念が広がったためです。

市場関係者は「日本国内の感染者が増え続けて歯止めがかからず、企業の生産や国内の消費がさらに落ち込む可能性があることを懸念した売り注文も続いた」と話しています。

経団連会長「予想を超えた下落」

新型コロナウイルスの感染拡大への懸念から、25日の東京株式市場で日経平均株価の値下がり幅が一時1000円を超えたことについて、経団連の中西会長は25日の記者会見で「予想を超えた下落だ」と述べたうえで、今後の市場の動向を注視する考えを示しました。

この中で、中西会長は「株式相場はとても敏感だということを再認識した。予想を超えた下落だと感じているが、落ち着いて見ていくしかない」と述べ、今後の市場の動向を冷静に注視する考えを示しました。

また感染拡大の防止に向けて、中西会長は「事態を早く収束させることを政府だけでなく、全員力を合わせてやっていくべきだ。各企業にもテレワークなどの取り組みをもっと広範囲に訴えかけていきたい」と述べ、経団連の会員企業に対し、職場に出勤せずに在宅などで働くテレワークや時差出勤などを積極的に活用するよう呼びかけました。

専門家「しばらく不安定な値動きか」

日経平均株価の下落幅が一時、1000円を超えた25日の東京市場の株価急落について、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストは「新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する可能性が出て、企業業績への影響が避けられなくなったとして株式を売却しようと動いた投資家が多かった。過去のウイルスの流行と比べて経済への影響がどれくらい違うのか、投資家はまだ見極めができておらず、日々『悲観』と『楽観』の間で右往左往しているのが現状だ」と分析しています。

また今後の見通しについては「感染者の減少傾向が世界的に確認されないと、株価が力強さを取り戻して上昇する流れに戻るのは難しいだろう。当面、投資家は新型コロナウイルスに関する新しい情報に振り回されるだろう。株価が上昇する場面もあるかもしれないが、国内でさらなる感染拡大が明らかになるなど悪い材料が出てくると、きょうのような大幅安の可能性もありうる。不安定な値動きがしばらく続くのではないか」という見方を示しました。