新型コロナ スポーツ各競技で影響・対策広がる

新型コロナ スポーツ各競技で影響・対策広がる
新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、スポーツ界でも大会の中止や開催方法の変更が相次ぐなど影響が広がっています。
日本バイアスロン連盟は、23日、札幌市で予定されていた日本選手権の中止を決めたと発表しました。

連盟は、参加選手と大会関係者の健康と安全を最優先に考慮して中止を決めたとして「成果を発揮する機会をなくすことに心を痛めますが、想定を上回る緊急事態に苦渋の決断をせざるを得ない状況となった」と説明しています。

大会は札幌市で今月29日から4日間、競技が行われる予定でした。
このほか女子ゴルフでは人気の渋野日向子選手らトップ選手が出場して来月5日から行われる国内ツアー開幕戦が、大会の全日程で観客を入れずに開催されることになりました。
また、ともに東京オリンピックの代表選考を兼ねた来月1日の東京マラソンと8日の名古屋ウィメンズマラソンは、一般ランナーの参加を取りやめてトップ選手のみで行い、大会の規模が大幅に縮小されることになりました。
さらに、21日、千葉市で行われる予定だったバスケットボール男子のアジアカップ予選、日本 対 中国の試合は延期され、アイスホッケー女子の日本代表が来月、横浜市で予定していたアメリカとカナダの選抜チームとの強化試合が3試合とも中止となるなど、さまざまな競技に影響が広がっています。

プロ野球 球場で感染予防対策

新型コロナウイルスの感染拡大を受けてNPB=日本野球機構とプロ野球の12球団は、オープン戦を行う球場で感染予防のための対策を進めています。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて政府は大規模なイベントの主催者に会場の状況などを踏まえ開催の必要性を改めて検討し開催する場合は対策をとるよう呼びかける一方、現時点で一律に開催の自粛を要請するものではないとしています。

NPBと12球団との間では、これまでのところオープン戦を観客なしで行うことや試合自体を中止にする予定はなく、ペナントレース開幕の5日前の3月15日までに12球団が12試合から16試合、合わせて85試合を戦うことになっています。

各球団は今月中にキャンプを打ち上げるなどして、29日には日本ハム、巨人、ロッテ、中日、ソフトバンクの合わせて5つの球団の本拠地でオープン戦が初めて行われます。このうちロッテを除く4球団は、ドーム球場での開催です。

NPBによりますと、感染予防のための具体的な対策は各球団に任せていますが、球団スタッフの健康管理をはじめファンサービスや風船による応援の自粛、それにせきやくしゃみをする際のエチケットの徹底を場内アナウンスで呼びかけることなどになるということです。
23日、那覇市で行われた巨人対楽天のオープン戦では、球団がファンに消毒液の使用を呼びかけたほか、球場のスタッフや売店の店員、それに報道陣に対してはマスクの着用や消毒液の使用を求めました。
ファンの多くはマスクを着けていて、家族連れで観戦に訪れた41歳の男性は「人が集まる場所なので、来ること自体も迷ったが、楽しみにしていたので、家族全員、マスクをして、来ることにした」と話していました。

巨人は今月25日に沖縄でのキャンプを打ち上げた後、29日と来月1日には本拠地の東京ドームでオープン戦を予定していますが、今回と同じ感染予防策に加え、スタッフや報道陣に球場に入る前に体温の測定を求めるなど対策の強化を検討しています。

力士もマスク姿で…

来月8日に初日を迎える大相撲春場所に向けて、23日は多くの力士たちがマスクをつけて新幹線で大阪入りしました。
23日、大阪入りしたのは幕下以下の力士などおよそ180人で、午後4時半ごろ、新幹線でJR新大阪駅に到着しました。
着物姿の力士たちがびんつけ油の香りを漂わせながら次々に駅に降り立つのは毎年恒例ですが、ことしは新型コロナウイルスの感染拡大を受けて大勢の力士がマスクを着けるという異例の光景でした。

居合わせた30代の女性は、「新型コロナウイルスの影響が相撲界にも出ていることを感じました。春場所が開催されるか不安を感じます」と話していました。

大相撲春場所の開催について日本相撲協会は「現時点で予定どおり準備を進めている」としていて、来場者には会場内に設置される消毒液を利用し、体調がすぐれない場合は、来場を控えるよう呼びかけているほか、場合によっては入り口で体温測定をするなどして感染拡大の防止に努めるとしています。

応援歌「神戸讃歌」が見送りに

サッカーJ1のヴィッセル神戸は新型コロナウイルスの感染防止対策として、23日、神戸市で行われた横浜FCとの開幕戦で、歌や肩を組むなどの応援行為を禁止する措置をとりました。

スタジアムでは、各トイレに消毒液が設置されたほか、大型ビジョンや場内放送で感染の予防についての注意喚起が行われました。
さらにクラブ独自の対策として観客が集団で歌ったり肩を組んだりして応援することや、旗や鳴り物などの応援道具を持ち込むことを禁止しました。

ヴィッセルでは、試合前やチームが勝利したあとにスタンドのサポーターたちが応援歌の「神戸讃歌」を合唱します。「神戸讃歌」は、今から25年前の阪神・淡路大震災の年に誕生したチームを応援しようとサポーターが15年前に作った応援歌です。地震の逆境から立ち上がった原点を思い出して、どんな苦境も乗り越えていこうというサポーターたちの思いが込められていて、今ではクラブを象徴するような応援歌となっています。

しかし、今回の措置でいつもならサポーターが『神戸讃歌』を合唱する試合前の時間帯は、多くの観客が応援のタオルを掲げ、静かな雰囲気の中で選手の入場を見守っていました。「神戸讃歌」が公式戦で歌われなかったのは、今回が初めてだということです。

23日は、試合中も旗や太鼓を使った応援が禁止されていたため、サポーターたちは選手たちに拍手や声援だけを送っていました。
ヴィッセルは、当面、主催ゲームで今回の対策を続けていく方針です。

サッカー 南アフリカ協会から問い合わせ

サッカーの東京オリンピック世代の日本代表が3月、国内で予定している南アフリカとの強化試合について、日本サッカー協会は、南アフリカ側から新型のコロナウイルスの感染拡大の影響などについて問い合わせを受けていることを明らかにしました。
一部の海外メディアは、南アフリカは日本にチームを派遣しない方針と伝えています。

東京オリンピック世代の23歳以下の日本代表は、来月27日に京都府亀岡市で同じ世代の南アフリカ代表と強化試合を行うことになっています。
日本サッカー協会によりますと、新型コロナウイルスの感染拡大でスポーツの国際大会に中止や延期が相次ぐなか、南アフリカのサッカー協会から日本での感染の状況や強化試合への影響について問い合わせを受けたということです。

日本サッカー協会は、南アフリカの大使館を通じて厚生労働省からの情報を提供するなどしていて、試合開催について「現時点で予定の変更はない」と話しています。

一方で、イギリスの公共放送BBCは「南アフリカは新型コロナウイルスへの懸念から、日本にチームに派遣しない方針だ」と伝えたうえで、南アフリカサッカー協会のモコエナ会長の談話として「私たちは試合の開催を再考するよう求めていて、信念を曲げるつもりはない。選手の命を危険にさらせない。死亡者は毎日増えていて大きな危険を冒す覚悟はできていない」と話したと報じています。

このほかサッカーでは、イタリア1部リーグで23日に予定されていた3試合が新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期となるなど影響が広がっています。

東京大会の組織員会は…

東京オリンピック開幕までおよそ5か月と迫る中、新型コロナウイルスの感染拡大で大会組織委員会も対応を迫られています。
今月14日、都内で開かれたIOCと組織委員会の事務折衝のあとの記者会見で、IOCのコーツ調整委員長が「大会は選手や観客にとって安全な形で行われる」と述べ、無観客での実施を問われた組織委員会の森会長は「全くそういうことは考えていない」と答えて、東京オリンピック・パラリンピックを予定どおり開催する考えを示しています。

来月26日から始まる国内での聖火リレーについては、21日、組織委員会の武藤事務総長が記者団に対して「延期することは不可能だ」と強調し、どうやったらうまくやっていけるかを検討するうえで、実施主体となる各都道府県が参考になる考え方を、組織委員会が近く示すとしています。

一方、大会ボランティアの研修では、8万人のうち、残りのおよそ2700人を対象にした14回分の研修がことし5月以降に延期されました。

また、テスト大会は、来月から5月にかけて19大会が集中しますが、今月28日からのボッチャのテスト大会が、脳性まひや筋ジストロフィーなど重い障害のある選手に感染した場合の影響を考慮し、国際大会としての開催が見送られ、観客を入れずに実施することになりました。

関係者によりますと、4月の自転車トラックのテスト大会で、韓国など海外の選手団の一部が参加の見送りを伝えてきているということです。

組織委員会の武藤事務総長はテスト大会について「個々に状況をみながら、開催の判断はしかるべきタイミングで行う。選手や関係者に安心してもらう努力が必要だ」としていて、実施にあたっては発熱している人は来場しないよう呼びかけたり消毒液を用意したりするなどの対応を検討しています。