就活「会社訪問」から「ウェブ訪問」へ 感染拡大で企業は…

就活「会社訪問」から「ウェブ訪問」へ 感染拡大で企業は…
仕事の内容や職場の雰囲気を知ろうと、この時期は就職活動を控えた大学生が先輩の会社を訪ねる「会社訪問」が増えますが、新型コロナウイルスの感染が広がっていることから、テレビ電話を使った「ウェブ訪問」に応じる企業も出てきました。
大手金融グループのみずほフィナンシャルグループでは、この時期、就職活動を控えた大勢の大学生が先輩にあたる社員から仕事内容や職場の雰囲気を聞こうと銀行を訪問します。

例年、みずほの社員は学生と個別に会って応じていますが、新型コロナウイルスの感染が広がっているため、今月中旬からは学生と会うのをやめ、テレビ電話を使った「ウェブ訪問」に応じることにしました。

また今月、東京や大阪で開く予定だったインターンシップの説明会はすべて見送り、職種ごとに業務内容を説明する動画をインターネットで配信することにしました。

事態がいつおさまるかが見通せないため、採用面接についてもウェブ上で行えるかどうか、検討することにしています。

みずほフィナンシャルグループ・グローバルキャリア戦略部の古屋沙織さんは「学生にとってウェブは場所に制約されず利便性が高いというメリットもある。今後も柔軟に対応して、従来と変わらない情報提供をできるような態勢をつくっていきたい」と話しています。

ウェブ説明会やウェブ採用面接 広がる

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、企業の間では学生を集める説明会や採用面接をウェブ上で行う動きが広がっています。

このうち、「ユニクロ」を運営する衣料品チェーン大手のファーストリテイリングは、入社を希望する学生を対象にした説明会をことし初めてウェブ上で行うことになりました。

説明会はライブで配信され、人事担当者が仕事の内容や働き方などについて説明するということです。

また、これまで主に海外など遠方にいる学生向けに行っていたウェブ上の採用面接も、ことしから最終面接以外は原則としてすべての学生を対象に行うことになりました。

日用品メーカー大手のユニ・チャームも対面での採用面接に加えて、ことしからスマートフォンやパソコンを使って行うことを検討していて、ウェブ面接に必要なカメラや通信環境を整えるなど準備を進めています。

ウェブ面接のシステム提供会社 対応に追われる

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、学生向けの企業説明会や採用面接をウェブで行いたいという企業が急速に増えていて、専用のシステムを提供する会社は対応に追われています。

東京 港区のIT企業が提供しているのは企業の面接官と学生が決められた時間に専用のサイトを開くと、パソコンやスマートフォンのカメラを使ってテレビ電話のように会話をすることができるシステムで、面接官の画面には学生の履歴書を表示したり、評価を書き込んだりする欄もあります。

この会社は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて先月末からシステムの一部を無償で提供していて、国内で感染が広がった先週から問い合わせが増え始め、今週に入ってからは「きょうにも使いたい」といった要望が急速に増えているとしています。

また、20日、リクルートキャリアが合同企業説明会を来月末まで中止すると決めたこともあって、説明会をウェブで開催したいという声も増えているということです。

IT企業「スタジアム」の前澤隆一郎執行役員は「ウェブ面接はこれまで遠方の学生など一部の人向けにとどまっていたが、面接官も出社できず学生を会社に呼びにくくなっているため、需要が高まっている」と話していました。