新型ウイルス 患者治療の医師「肺炎症状出た高齢者 悪化早い」

新型ウイルス 患者治療の医師「肺炎症状出た高齢者 悪化早い」
新型コロナウイルスに感染して重症の肺炎になった患者の治療に当たった医師がNHKの取材に応じ、重症化した高齢者の1人は酸素をとりこめなくなり、肺の機能を一時的に代行する装置で対応していることを明らかにしました。そのうえで「肺炎の症状が出ると悪化するのは早い」として、重症化するおそれのある高齢者などへの感染拡大を防ぐ必要性を改めて強調しました。
国立国際医療研究センターの忽那賢志医師は、中国・武漢からチャーター機で帰国した人や、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客など、11人の治療に当たり、クルーズ船の乗客の60代以上の男性3人が重症化したということです。

症状は、鼻水やせき、のどの痛みなどが1週間ほど続いたあと、強いせきや大量のたんが出て息苦しさが強くなり、このうちの2人は人工呼吸器が必要な状態になったということです。

そして70代の男性には人工呼吸器を使い、80代の男性には、血液中に直接酸素を送り込んで肺の機能を一時的に代行する「ECMO」という装置を使った治療を行っているということです。

忽那医師は「肺炎の症状が出てから人工呼吸器が必要になるまで2日から3日程度と進行が早い印象だ」と話しています。

また、すべての重症患者にエイズの発症を抑える薬を投与したことを明らかにし、「どの程度の効果があるかはわからない。今のところ、症状の悪化を阻む手段はなく、今後、どんな薬が効くのか探索を進める必要がある」と述べました。

忽那医師は、ほとんどの患者は軽症で、通常のかぜよりは症状が出る期間が長いものの、1週間ほどで回復して退院している人もいるとしています。

その一方で「免疫力が低下する持病のある人や高齢者では急速に症状が進むおそれがあるので、感染させてはいけない」と述べ高齢者などへの感染拡大を防ぐ必要性を改めて強調しました。