新型ウイルス 研究者試算 対策組み合わせで入院患者6割以上減

新型ウイルス 研究者試算 対策組み合わせで入院患者6割以上減
新型コロナウイルスの国内での流行が懸念される中、筑波大学の研究者がAI=人工知能を使ってシミュレーションを行った結果、時差通勤やテレワークなどさまざまな対策を組み合わせることで、入院する患者の数を最大で6割以上減らすことができるとする試算を公表しました。
これはAIを使ったシミュレーションを専門とする筑波大学の倉橋節也教授が試算しました。

シミュレーションでは新型コロナウイルスについて、これまでに分かっている感染力などのデータを基にAIを使って1120人の架空の集団を想定して感染がどう広がるかを計算しました。

そして、さまざまな対策をとった場合に入院する患者数をどの程度減らせるかを試算したところ、時間差通勤では5%、職場や学校で人と接触するのを避けたり、手洗いを徹底したりした場合は11%、それに職員の半分をテレワークにした場合は15%などとなりました。

一方で、これらに加えて商業施設などでも人と接触するのを避けたり、発熱後に自宅待機したりする対策をすべて組み合わせて行った場合は入院患者の数は64%と大幅に減るという結果が出たということです。

シミュレーションを行った倉橋教授は「限られた条件での試算だが、1つの対策だけを行っても、効果は薄い。少しでも対策に抜かりがあると感染が拡大することを意味している。有効な対策を組み合わせて徹底することが重要だ」と話しています。

架空の街でシミュレーション

シミュレーションでは、人口560人ずつの2つの架空の街に電車通勤をする人がいたり、子どもが学校に通ったりしているという想定で、新型コロナウイルスに感染して入院する患者数が対策によってどう変わるかを試算しました。

その結果、入院する患者数が減った割合は、
▽発熱後に自宅待機した場合は1%
▽時差通勤を行うと5%
▽電車内で人との接触を避けた場合は5%
▽全校を学級閉鎖にすると7%
▽職場や学校で人との接触を避けた場合は11%
▽職員の半分をテレワークにすると15%など、となっています。