新型ウイルス 感染患者受け入れ始めた一般病院 課題も指摘

新型ウイルス 感染患者受け入れ始めた一般病院 課題も指摘
新型コロナウイルスの患者が増える中、感染症の患者を受け入れる指定医療機関以外の病院が自治体の要請をうけて患者を受け入れ始めています。しかし、こうした病院では受け入れにあたって課題も指摘されています。
関東地方にある病院では、感染症の指定医療機関ではありませんが、今月、クルーズ船で新型コロナウイルスに感染した患者を受け入れました。

病院では今回の感染症に備えて患者を病室まで搬送する経路や手順、さらに使用するマスクや手袋、そして防護服の取り扱いなどをまとめたマニュアルを作成するなど準備を進めていたといいます。

ところが実際に感染した患者を検査室へ移動させたとき、マニュアルに定めたとおり実施されなかっため、スタッフや他の患者などと通路ですれ違ってしまったということです。

病院のある関係者は取材に対して、「今回はなんとか陽性患者を受け入れたが、感染症に不慣れな普通の病院では限界があると思う。対応しようと急にマニュアルを作っても、病院には医師や看護師だけでなく、入院患者や外来患者など多くの人たちが出入りするので周知徹底は難しい」と打ち明けました。

病院ではこの感染した患者を担当していた看護師が発熱し、現在、検査を受けたうえで自宅待機しているということです。

関係者は「ずさんな対応が続けば院内感染につながると思う。自分も知らないうちに院内で感染してはいないか、とても不安だ」と語りました。

「何度も繰り返しシミュレーションすることが重要」

感染症対策に詳しい東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「感染が拡大する中で、指定医療機関以外の患者の受け入れは今後さらに増えていく。その中で自治体から要請された病院は学会や国のガイドラインを元に患者を受け入れるマニュアルを作成するだけでなく、医療スタッフと共有し、何度も繰り返しシミュレーションすることが重要だ」と指摘しました。

そして、「手袋やマスクなど、防護服を正しく着用し、マニュアルを守って対処すれば過度におそれる必要はない」と話しています。