クルーズ船 下船した人たちへの対応疑問視 海外メディア

クルーズ船 下船した人たちへの対応疑問視 海外メディア
新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から下船した人たちへの日本政府の対応について、海外のメディアからは疑問や懸念の声が相次いでいます。
アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは「日本がクルーズ船の乗客を自由にした。安全なのか?」という見出しで日本以外の多くの国が船内での隔離期間に実効性がなかったと見なし、自国民を帰国させたあと、さらに2週間隔離していると伝えています。

そのうえで、「最近感染したばかりの人は下船前の検査で陰性だったとしても、数日後に発症する可能性がある」というオーストラリアの専門家の指摘を紹介し、乗客を下船させたあと公共交通機関などで帰宅させた対応に疑問を呈しています。

また、イギリスの公共放送BBCは船内の感染対策の不備を訴える神戸大学の岩田健太郎教授のインタビューや、アメリカのCDC=疾病対策センターによる「船内で症状がない感染者がこれほどのペースで新たに確認されていることは今もリスクが続いている証拠だ」という声明とともに、韓国政府がクルーズ船に乗っていた外国人の入国を禁止したこともあわせて紹介しています。

さらに、ロイター通信は「船内でウイルスに継続的にさらされているのに、どうして検疫態勢を解除できるのか。疫学的な見地からは道理にかなっていない」とするイスラエルの専門家の談話を紹介するとともに、「日本政府の対応への批判は高まっている。安倍総理大臣にとって栄誉あるものになるはずだったオリンピック・イヤーは汚された」と伝えています。

官房長官「政府対応 丁寧に説明したい」

菅官房長官は、20日午前の記者会見で、集団感染が確認されたクルーズ船をめぐる日本政府の対応に、海外メディアなどから批判が出ていることについて、「政府の取り組みは適切であると思っている。これまでも各国大使館への説明会などを行ってきているが、引き続き政府の取り組みについては内外に丁寧に説明をしていきたい」と述べました。

また、クルーズ船で感染が広がったことをめぐり、菅官房長官は「今月5日以降、感染拡大防止の措置がとられ、徐々に発症者が減少し、現在は、ほぼ感染者の発生がないという状況まで確認されている」と説明したうえで、乗員に対する対応については、「熱のある方にはしっかり検査をして、陽性の方は、入院をしていただくなど、対応をしている」と述べました。