新型コロナウイルス “受験生が感染!” その時 大学は

新型コロナウイルス “受験生が感染!” その時 大学は
来週に迫る国公立大学の入学試験。そうした中で新型コロナウイルスの感染が広がり続けています。“この日のために努力してきた受験生が感染!”。その時、大学はどうする?いまネット上でも議論になっています。(ネットワーク報道部 記者 松井晋太郎 國仲真一郎)

東大「受験できません」

今月13日、東京大学がホームページに受験生に向けて新型コロナウイルスへの対応を発表しました。
「り患者は本学の入学試験を受験できません」
「追試験等の特別措置は予定しておりません」
感染した場合の対応について、そう書かれていました。受験を認めないのはどうして?

取材に対して担当者が挙げたのが「学校保健安全法」です。

学校での出席停止などについて定めた法律で、新型コロナウイルスは今月1日、出席停止の対象となる感染症の一つに指定されました。

入学試験は学校の出席とは異なるものの、この規定を基に判断したというのです。

「感染拡大から入試までに時間なく」

では追試験など、別の試験機会を設けることはできないのか。

入試の担当者は「公平性の点から懸念がある」という理由に加えて、次のように話しました。
東大 入試担当者
「新しい試験問題を作ったり、試験監督や採点の態勢も準備したりする必要があります。併願するほかの大学の試験日程とも調整が必要になるかもしれません。今回は感染拡大が始まってから入試までに時間がなく、こうした準備や調整に必要な十分な時間がとれなかったのも大きな理由です」

「認めない 追試ない」は他大学も

東京大学は、新型インフルエンザの感染が流行した10年前の入試でも、今回と同様、追試験の実施は「公平性確保の点で懸念がある」として見送っています。

このほか大阪大学や広島大学も、感染した受験生の受験は認めず、追試験を実施する予定はないと発表しています。

「はってでも行く」? 「実力のうち」?

東京大学の対応についてネット上での反応はさまざまです。
ネット上の声(懸念)
「追試験がないから試験日当日に熱があってもはってでも行くでしょう」
「少しの熱があっても皆受験で、会場で爆発的な感染拡大になる」
など、無理して受験するケースが出るのではないかと言う声。
一方…
ネット上の声(それも “実力” )
「受験ってそういう厳しさがあります。健康管理も受験のうち」
「感染を避けるのも実力の内、オリンピックにピークを合わせるのもアスリートの実力だから」
など、受験生自身の体調管理の問題という声もありました。

救済措置を取る大学も

「(感染した受験生には)追試験を行う」
救済措置を発表したのは東京工業大学。
感染すると今月25日と26日の試験は受験できないものの、希望者には3月中に追試験を行う予定だとホームページに掲載しました。

東京工業大学の水本哲弥理事副学長は「文部科学省より、新型コロナウイルスに感染した場合等の受験生への配慮について依頼を受け、対応を行った」としています。

センター試験の活用も

佐賀大学は別の方法で救済措置をとります。
面接や実技検査を必要とする一部の学部を除いて、先月行われた大学入試センター試験と調査書の内容を総合的に判断して合否を決定することにしたのです。

佐賀大学は10年前の新型インフルエンザの流行の際に追試験を実施した経験があり、「今回も追試験を行う方向で準備をしていた」(入試課担当者)そうです。

ところが、学内の医学部の専門家に相談したところ状況が変わりました。

「新型コロナウイルスは潜伏期間も不透明、治療できる薬もまだはっきりしない」という意見が出ます。

このため、感染の拡大を予防できるようにと、追試験を行わずセンター試験などを活用して合否を決定することにしたのです。
佐賀大 園田泰正入試課長
「過去のセンター試験の状況などをよく分析して、不公平感がないように対応していきたい」
このほか名古屋工業大学も、新型コロナウイルスに感染した受験生に対して、センター試験などを利用して総合的に合否を決定することにしています。

その際のセンター試験の配点も学科別に示してホームページに掲載しました。
名古屋工大 伊藤幹雄入試課長
「インフルエンザと違って新型コロナウイルスは、追試験の日程を決めても今後どうなるか分からないためこうした対応を決めた。不公平がないようにしていきたい」

「まだ検討中」の大学も

一方、試験まであと1週間に迫りましたが、取材した大学の中には「感染者への対応はまだ検討中」というところもありました。

「各大学に任せる」文科省

感染した受験生への対応について文部科学省は、進学の機会の確保を図る観点から、振り替え試験の実施など柔軟な対応を検討するよう依頼する文書を大学に送って配慮を求めています。

ただ、各大学で対応が分かれることについてはこう話します。
「入学試験は大学の実情に応じて実施するもので、実際の対応については各大学に任されている」(文部科学省担当者)

入試まであと1週間!

感染の広がりが受験シーズンと重なった新型コロナウイルス。
大学側は、感染予防に気を配り、健康管理に留意してほしいと受験生に求めています。

しかし、感染を確実に防ぐ方法がない中、受験生を最後までやきもきさせる事態になっています。

なんとか万全の体調で試験に臨んでほしい、そして日々積み重ねてきた力を最大限に発揮してほしい、そう祈ってやみません。